今回は「貸付金・借入金」についてです。
1.貸付金・借入金の概要
商売をする上では、「お金」がなければできません。
しかし、会社は常に潤沢なお金を持っている訳ではありません。
日常かかる経費にお金を使ったり、設備投資を行ったりするからです。
もちろん、お金がなくなってしまうと支払いができませんので、会社は成立しません。
しかし、突然出費がかさむということも、よくある話です。
従いまして、会社はお金がなくなった場合には、「借金」をして対応します。
この借金は経営が苦しいとかではなく、会社としてごく普通のことです。
借金は、会社の潤滑油のようなものですね。
ただし、借金には「金利」がかかります。
年間●%とかいうやつですね。
この、金利を考えて借入を行わなければなりません。
もちろん、お金を借りることによって金利よりも多く稼げればOKです。
つまり、
3%で借りたお金を10%で運用した
のであれば、「10%-3%=7%」が利益ということになります。
これであれば、お金を借りても問題がないですね。
借金をすることで、会社はより儲けることができるようになります。
ただし、借金の返済のために借金をするようでは、
借りたお金から収益が生じませんので、これはいけません。
俗に言う、「自転車操業」状態となり、金利負担が会社経営を圧迫していきます。
したがって、お金を借りる場合には「金利以上に儲けられるか」がポイントとなります。
金利以上に儲けることができるのであれば、借入を増やせばOK。
逆に、金利以下の場合には借入を減らさないといけないことになります。
通常、賞与の支払い等のために借りる「儲けを生まない借金」は早く返済し、
設備投資等のために借りる「儲けを生む借金」は長期に渡って返済します。
お金の借り方にも色々あるんですね。
なお、利息の計算は下記の算式で算定します。
元本×金利
利息を減らすには、元本か金利のどちらかを減らさなければなりません。
しかし、通常、金利を減らすことはできませんので、元本を調節することで金利を調整します。
「借金」と言いますと何か悪いイメージがあるかも知れませんが、会社の場合には借金がないことの方が少ないです。
基本的には、金利より稼ぐことができるため、借金をしていくのですね。
簿記では、
お金を貸したら「貸付金勘定(資産)」
お金を借りたら「借入金勘定(負債)」
で処理をします。
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・ポイント
お金を貸したら「貸付金」、借りたら「借入金」を使用!
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2.貸付金・借入金の極意
お金を貸した・借りた場合には、貸付金・借入金として処理します。
貸付(借入)時には、現預金が減少(増加)することになります。
また、利息のデータが問題文に必ずありますので、次の事項をチェックしましょう。
(1)金利は何%?
(2)借入期間は?(記載がない場合もあります)
(3)利払日は?
(4)年割・月割・日割?(記載がない場合には日割で計算します)
これらのデータがないと問題が解けませんので注意して下さい!
例1)
1/1 A商店は、D銀行から100,000を借入れ、当座預金に入金した。
なお、利息は年利3.65%とし、利払日は、6月及び12月の末日とする。
(当座預金)100,000 (借入金)100,000
お金を借りた場合は、借入金勘定(負債)を使用します。
例2)
6/30 A商店は上記借入金のうち20,000を返済し、利息を含めて当座預金から支払った。
(借入金)20,000 (当座預金)21,810
(支払利息)1,810
利息の計算は次の通りです。
100,000×3.65%×181日/365日=1,810
1/1~6/30ですので、丁度半年分ですが、日数としては181日になります。
※1月:31日、2月:28日、3月:31日、4月:30日、5月:31日、6月:30日
合計:181日
例3)
12/30 A商店は上記借入金のうち20,000を返済し、利息を含めて当座預金から支払った。
(借入金)20,000 (当座預金)21,472
(支払利息)1,472
利息の計算は次の通りです。
80,000×3.65%×184日/365日=1,472
例2で元本を20,000返済していますので、差引元本は80,000です。
元本の変動には注意して下さい。
日数は下記により184日になります。
※7月:31日、8月:31日、9月:30日、10月:31日、11月:30日、12月:31日
合計:184日
3.おわりに
今回は「貸付金・借入金」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
なお、金利計算については、以前の記事で紹介していますのでそちらをご確認下さい。
参考)