日商3級の内容及び解説の記事一覧

貸倒引当金の繰り入れは差額補充法と洗替法があります

今回は「貸倒引当金の決算整理3」についてです。

1.既に貸倒引当金が設定してある場合

貸倒引当金は当期末の債権について、見積りを基に、設定します。
あくまで「見積り」ですので、翌期において貸倒れが起きないケースがあります。
そうしますと、前T/Bに貸倒引当金が残ることになります。

この場合、どのように貸倒引当金を設定すればいいでしょうか。
答えは、

いつも通り設定して、前T/Bの残高との差額を繰り入れる

ことになります。
前から繰り入れてある分については、繰り入れなくてOKということですね。

ここで、前<当であれば差額を繰り入れればOKで、
前>当であれば、差額を戻せばOKになります。

前T/Bの貸倒引当金残高と当期繰入額(対象債権額×設定率)が、

前<当  差額を繰り入れ
前>当  差額を戻す

この場合、戻しの勘定科目は「貸倒引当金戻入」という収益勘定を使用します。
戻入は「もどしいれ」とか「れいにゅう」と読みます。
前者の方が多いですが、私は「れいにゅう」と呼んでいます。
どちらでも構いませんけどね。

このように、前年度の残高と当年度の設定額との差額で調整する方法を、
「差額補充法」と言います。
なお、この他に「洗替法」というものもあります。
今回は、差額補充法について確認していきます。

2.貸倒引当金が設定してある場合の処理

例1)
受取手形及び売掛金の期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する。
なお、受取手形の残高は1,000、売掛金の残高は5,000であり、
前T/Bの貸倒引当金残高は200である。

(貸倒引当金繰入)100  (貸倒引当金)100

当期の設定額は、(1,000+5,000)×5%=300となります。
しかし、既に200がありますので、300-200=100を繰り入れればOKとなります。

例2)
上記例1において、前T/Bの貸倒引当金残高が480だった場合

(貸倒引当金) 180  (貸倒引当金戻入)180

当期の設定額は300ですが、既に480あることになります。
したがって、300-480=△180を戻してあげることになります。
なお、貸倒引当金戻入は「収益勘定」ですので、お間違えのないように^^

3.おわりに

今回は「貸倒引当金の決算整理3」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
どのような場合が繰入で、どのような場合が戻入になるかを、しっかり把握しましょう。

それでは、今回もお疲れ様でした^^

2014年01月22日(水)|日商3級の内容及び解説

貸倒れが見込まれる危ない相手先には貸倒引当金を設定

今回は「貸倒引当金の決算整理2」についてです。

1.貸倒引当金の概要

貸倒損失は突然やってくる訳ではなく、「あの会社あぶないかも・・・」
といったようにある程度の兆候が見られるのが普通です。

この状態で、何もしないのではなく、「貸倒れる可能性」を見積ります。
そして、その見積もった分は「費用」として先に計上します。

このように、将来の費用又は損失を先に費用処理することを
「引当(ひきあて)」といいます。
引当は、会計では切っても切れないテクニックになります。

なお、引当の計上基準は次の4つを全て満たすことが要件となります。

・将来の特定の費用又は損失であること
・費用又は損失の発生の可能性が高いこと
・費用又は損失が当期以前の事象に起因すること
・費用又は損失の金額を合理的に見積もることができること

貸倒れに係る引当金は「貸倒引当金」といい、次の方法により引当額を計算します。

貸倒れが見込まれる債権の合計額×設定率

設定率は、将来貸倒れるだろうと予想される率を指します。
算定方法は、過去の貸倒れ実績から求める方法によりますが、こちらの計算については3級・2級では学習しません。
3級・2級では設定率が「必ず」与えられますので、それを利用すればOKです。

なお、貸倒れが見込まれる債権は、通常、「受取手形」「売掛金」になります。
これらの価額の合計額に設定率を乗じて貸倒引当金を設定することになります。

また、引当金には「負債性引当金」と「評価性引当金」の2種類があります。
負債性引当金は、将来の賞与の引当などが代表的なものです。
評価性引当金は、貸倒引当金「のみ」となっています。

負債性引当金は負債として認識されますが、
評価性引当金は、資産の控除項目として、次のように表示されます。

Ex)売掛金1,000・貸倒引当金50の場合

売掛金   1,000
貸倒引当金 △50

貸倒引当金は、資産・負債・資本・収益・費用のどれでもなく、
資産の控除項目という例外的な取扱いなんですね。
評価性引当金は貸倒引当金のみですので、例外としてこれだけ覚えてしまって下さい。

2.貸倒引当金の処理

例)
受取手形及び売掛金の期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する。
なお、受取手形の残高は1,000、売掛金の残高は5,000である。

(貸倒引当金繰入)300  (貸倒引当金)300

受取手形と売掛金の残高(1,000+5,000=6,000)に対して5%の貸倒引当金を設定します。
6,000×5%=300ですので、300を費用として計上します。
この際の費用科目は「貸倒引当金繰入(くりいれ)」という費用勘定になります。

引当金を設定する場合、基本的にこの「繰入」という言葉を使用しますので、
この機会に覚えておいて下さいね。

3.おわりに

今回は「貸倒引当金の決算整理2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
貸倒引当金はこういったものなんだなということを覚えておいて下さい。

それでは、今回もお疲れ様でした^^

2014年01月15日(水)|日商3級の内容及び解説

貸倒引当金は将来の損失に備えて設定する決算整理項目

今回は「貸倒引当金の決算整理1」についてです。

1.貸倒引当金の概要

貸倒損失は突然やってくる訳ではなく、「あの会社あぶないかも・・・」
といったようにある程度の兆候が見られるのが普通です。

この状態で、何もしないのではなく、「貸倒れる可能性」を見積ります。
そして、その見積もった分は「費用」として先に計上します。

このように、将来の費用又は損失を先に費用処理することを

「引当(ひきあて)」

といいます。
引当は、会計では切っても切れないテクニックになります。

なお、引当の計上基準は次の4つを全て満たすことが要件となります。

・将来の特定の費用又は損失であること
・費用又は損失の発生の可能性が高いこと
・費用又は損失が当期以前の事象に起因すること
・費用又は損失の金額を合理的に見積もることができること

貸倒れに係る引当金は「貸倒引当金」といい、次の方法により引当額を計算します。

貸倒れが見込まれる債権の合計額×設定率

設定率は、将来貸倒れるだろうと予想される率を指します。

算定方法は、過去の貸倒れ実績から求める方法によりますが、
こちらの計算については3級・2級では学習しません。
3級・2級では設定率が「必ず」与えられますので、それを利用すればOKです。

なお、貸倒れが見込まれる債権は、通常、「受取手形」「売掛金」になります。
これらの価額の合計額に設定率を乗じて貸倒引当金を設定することになります。

また、引当金には「負債性引当金」と「評価性引当金」の2種類があります。
負債性引当金は、将来の賞与の引当などが代表的なものです。
評価性引当金は、貸倒引当金「のみ」となっています。

負債性引当金は負債として認識されますが、
評価性引当金は、資産の控除項目として、次のように表示されます。

Ex)売掛金1,000・貸倒引当金50の場合

売掛金   1,000
貸倒引当金 △50

貸倒引当金は、資産・負債・資本・収益・費用のどれでもなく、
資産の控除項目という例外的な取扱いなんですね。
評価性引当金は貸倒引当金のみですので、例外としてこれだけ覚えてしまって下さい。

2.貸倒引当金の処理

例)
受取手形及び売掛金の期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する。
なお、受取手形の残高は1,000、売掛金の残高は5,000である。

(貸倒引当金繰入)300  (貸倒引当金)300

受取手形と売掛金の残高(1,000+5,000=6,000)に対して5%の貸倒引当金を設定します。
6,000×5%=300ですので、300を費用として計上します。
この際の費用科目は「貸倒引当金繰入(くりいれ)」という費用勘定になります。

引当金を設定する場合、基本的にこの「繰入」という言葉を使用しますので、
この機会に覚えておいて下さいね。

3.おわりに

今回は「貸倒引当金の決算整理1」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
貸倒引当金はこういったものなんだなということを覚えておいて下さい。

2014年01月02日(木)|日商3級の内容及び解説

貸倒引当金がない場合の貸倒れは貸倒損失という費用項目になります

今回は「貸倒れ」についてです。

1.貸倒損失の概要

売掛金や立替金、貸付金などは資産として計上されています。
これは、「将来お金が入ってくる権利」だからですね。

お金が入ってくる場合には問題ありませんが、相手先の倒産等で
返ってこないこともあります。
このような場合にはどのような処理をすればいいでしょうか。

答えは、

損失(費用)を計上する

ことになります。
立替金の例で見てみましょう。

立替金は、お金を立替えてあげただけです。
収益も費用も関係ありません。
仕訳としては、

(立替金)××× (現金)×××

となります。
この立替金が返ってこない場合、

(   )××× (立替金)×××

という仕訳をしますが、お金は返ってこなかった訳です。
そうすると・・・損していますよね。

売掛金・貸付金の場合も全く同じで、
ようは貸したお金が返ってこない。

そうすると、そのお金は「損」することになります。
この時、簿記では「貸倒損失(費用)」という科目を
使用することになります。

※簿記では、貸したお金が返ってこないことを
「貸倒れ(かしだおれ)」と呼びます。
 また、費用・損失と言い方は違えど、仕訳上は
共に費用勘定として処理します。

2.貸倒損失の処理

貸倒損失の仕訳はいたってシンプルです。
概要でお話したとおり、貸していたものが返って
こないことが確定した場合に貸倒損失を計上します。

例)
A商店はB商店に売掛金800を有していたが、B商店の倒産に伴い、回収できないことが明らかになった。

(貸倒損失)800  (売掛金)800

例2)
A商店はB商店に貸し付けていた2,000を貸倒れとして処理した。

(貸倒損失)2,000  (貸付金)2,000

3.おわりに

今回は「貸倒れ」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
次回、貸倒損失と貸倒引当金というものの関係を確認します。
貸倒損失は貸倒引当金を学習する前の準備作業みたいなものですね。

2013年12月26日(木)|日商3級の内容及び解説

仮払金の決算整理は実務上頻発しますのでしっかりとマスターしましょう

こんにちは、KENです。

今回は「仮払金の決算整理」についてです。

1.仮払金の概要

仮払金、覚えていらっしゃいますでしょうか。
出張に行くときなどに、とりあえず渡しておくようなお金のことです。

仮払金は「とりあえず」勘定ですので、決算では適正な科目に振替える必要があります。
この点は、現金過不足の考え方と同じですね。

仮払金を決算で計上して良いとすると、

・利益が少ない→費用を減らしたい→費用を仮払金に振替え

こういった利益操作を行うことができてしまいます。
それを排除するためにも、とりあえず勘定である仮払金は正しい勘定に振り替えをします。

実務では、旅費等の仮払いでよく出てきます。
この場合の処理を確認しておきましょう。

■出張旅費見合いとして10,000を仮払い

・出張完了
仮払金の精算を行い、旅費交通費等の勘定に振替え

・出張中
仮払金を「立替金」に振替え

ということで、「何の用途で仮払いをしたか?」をしっかりと確認しましょう。
出張旅費見合いであれば、旅費の「立替え」ですね。
そして、出張が終わっていれば旅費交通費等に振り替えればOKとなります。

実務では、とりあえず払っておいた場合に仮払金を使うことが多いです。
この場合、「立替え」であったり「前払い」であったりすることがほとんどです。
取引の内容を見て判断しましょう。

2.仮払金の決算整理

例)
決算にあたり、仮払金の決算整理を行う。
仮払金の内容は次の通りである。

・出張旅費の仮払い 3,000
なお、当該出張に係る費用は、旅費2,500、交際費300であった。

・備品購入の手付金10,000
なお、当該備品の引き渡しは決算日現在未了である。

(旅費)2,500  (仮払金)3,000
(交際費)300
(未収金)200

出張が完了しているため、仮払金の精算を行います。
仮払金との過不足があった場合には、未収金・未払金で処理を行います。

(前払金)10,000  (仮払金)10,000

備品の引き渡しを受けていないため、借方は備品ではありません。
このケースでは、先に払っておいたお金となりますので、前払金として処理を行います。

3.おわりに

今回は「仮払金の決算整理」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
仮払金の決算整理は、試験上はほとんど出ませんが実務上は頻出項目です。
実務に活かせる項目ですので、しっかりと覚えておいて下さいね。

2013年12月19日(木)|日商3級の内容及び解説

引出金の決算整理では資本金勘定が相手勘定となります

今回は「引出金の決算整理」についてです。

1.引出金の概要

引出金(ひきだしきん)という勘定を覚えていらっしゃいますでしょうか。
引出金は、店主がお店のお金を個人的に使ったり預けたりした場合に使用する勘定です。

店主がお店のお金を個人的に異動させた場合、本来であれば元入金の増減になります。
しかし、元入金(=資本金)というのは「維持すべき最低資本」として定義されています。
これを期中にコロコロと変えるのはあまりよろしくないですよね。

※なお、3級で学習する個人商店とは違い、一般の会社では、資本金を増減させる場合、
「増資(ぞうし)」「減資(げんし)」といい、簡単に増減させることはできません。

そこで、期中に店主が個人的に使用したものは「引出金」勘定を使用して経理しました。
引出金勘定は「とりあえず」の勘定科目です。

期末に引出金が残っていた場合には、「とりあえず」の勘定が翌期に繰り越されてしま
うことになります。これを回避するために、決算整理を行います。

決算整理の際は、「とりあえず」を本来の仕訳に戻す仕訳を行います。
つまり、資本金勘定を増減させることになります。

なお、実務では「店主勘定」とか「事業主勘定」といったものを使用することがあります。
どちらも、意味は引出金と全く同じです。

2.引出金の決算整理

例)
決算にあたり、引出金1,000(借方残)につき決算整理を行う。

(資本金)1,000  (引出金)1,000

引出金が借方に1,000ありますので、これを全てひっくり返します。
そして、相手勘定には資本金を使用して終了となります。

3.おわりに

今回は「引出金の決算整理」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
引出金は基本的に3級でしか使用しない勘定です。
あまり重要ではないですが、試験に出ることもありますので、覚えておいて下さいね。

2013年12月05日(木)|日商3級の内容及び解説

売買目的有価証券の決算整理テクニック

今回は「有価証券の決算整理」についてです。

1.売買目的有価証券の決算整理の概要

売買目的有価証券は購入時に「購入代価+付随費用」を計上します。
そして、期中の計上金額はずっとこのままになります。
しかし、有価証券には時価があります。

簿価=時価とはなりませんので、簿価のままですとB/S価額が
時価とかけ離れたものとなってしまう可能性があります。

そこで、期末に売買目的有価証券の価格を見直します。
簿価ではなく、時価でB/Sに計上しましょうとなるんですね。

これを「有価証券の時価評価」と言います。
時価評価の概念は、近年、かなり積極的に行われています。

簿価ではなく時価で貸借対照表に計上することで、
よりリアルなB/Sを作成することができるようになります。

また、簿価と時価との差額は次のように処理します。

・簿価>時価の場合

プラス分を「有価証券評価益」勘定

・簿価<時価の場合

マイナス分を「有価証券評価損」勘定

売買目的有価証券の決算整理は完全な点取り問題ですので、
ここでしっかりと押さえておいて下さい。

なお、T/B上では売買目的有価証券は次のようになります。

・前T/B

簿価

・後T/B

時価

2.売買目的有価証券の決算整理

例)
A社の株式300株を@200で購入し、手数料1,000と共に現金で支払った。

(売買目的有価証券)61,000  (現金)61,000

付随費用は簿価にプラスします。
300×200+1,000=61,000となります。

例2)
上記株式の決算整理を行う。
なお、期末の時価は180である。

(有価証券評価損)7,000  (売買目的有価証券)7,000

時価180ですので、300株×@180=54,000がB/S価額になります。
簿価は61,000ですので、61,000-54,000=7,000のマイナスになります。
マイナスの場合は「有価証券評価損」勘定を使用します。

3.おわりに

今回は「有価証券の決算整理」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここで時価評価というものを覚えておいて下さい。
時価評価は現代会計のテーマですから。

2013年11月21日(木)|日商3級の内容及び解説

商品の決算整理のまとめと決算整理前後試算表との関係

今回は「商品の決算整理4」についてです。

1.商品の決算整理まとめ

今回は商品の決算整理について、まとめをしていきます。
商品売買は簿記をやっていく上で避けては通れない道ですので、
ここでしっかりと基礎をマスターして下さい。

商品売買をつきつめますと、次のようになります。

商品売買でいくら儲かったか?

商品販売によって、どの位の利益が出たかが知りたい訳ですね。
利益の計算式は「収益-費用」ですので、収益と費用がわかれば利益がわかります。
そうしますと、

収益=売上
費用=売上原価(売った商品の買った値段)

を出せばいいことになります。

売上の方は、P/Lの売上とイコールですので調整はいりません。
調整が必要なのは、売上原価の方になります。
売上原価の算定式は次の通りです。

売上原価=当期商品仕入高+期首商品棚卸高-期末商品棚卸高

通常はこの売上原価を「仕入」勘定を使用して算定します。
決算整理前は、仕入勘定には当期商品仕入高しかありませんので、
期首商品棚卸高を足して期末商品棚卸高を控除する仕訳を知れます。

その仕訳が、

(仕入)××(繰越商品)××
(繰越商品)××(仕入)××

という仕訳で、「し・くり・くり・し」という仕訳です。
「し・くり・くり・し」は、仕入勘定で売上原価を表示する仕訳になります。

なお、売上原価勘定を使用する場合は、

(売上原価)××(繰越商品)××
(繰越商品)××(売上原価)××
(売上原価)××(仕入)××

という仕訳になり、「うり・くり・くり・うり」に「うり・し」の仕訳が付きます。
こちらは苦手な方がいらっしゃいますが、売上原価を算定するためにはどんな
仕訳をすればいいかを考えれば間違えにくくなりますので、しっかりと押さえましょう。

2.試算表の読み方

試算表は、決算整理前と整理後で内容が異なります。

・決算整理前

仕入:当期商品仕入高
繰越商品:期首商品

・決算整理後

仕入:売上原価
繰越商品:期末商品

理由は、上記1でお話ししたとおりですね。
これはとても大事なことですので、理解しておいて下さい。

例)
商品について決算整理仕訳を行う。

期首商品棚卸高:10,300
期末商品棚卸高:8,300
当期商品仕入高:41,500

・決算整理前

仕入:41,500
繰越商品:10,300

・決算整理後

仕入:43,500
繰越商品:8,300

仕訳をして、整理前の金額+仕訳=整理後とならなければ何か間違っています。
問題をパッと見た瞬間に、整理後の金額は把握しておくようにしましょう。
そうすることで、正確な検算を行うことができますよ。

4.おわりに

今回は「商品の決算整理4」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
商品の決算整理でごちゃごちゃになっていたところがクリアにりましたでしょうか。
商品売買は大事な大事な項目です。
何度も何度も読み返して理解するよう努めて下さいね。

2013年11月10日(日)|日商3級の内容及び解説

商品の決算整理を売上原価勘定を使用してやってみましょう

今回は「商品の決算整理3」についてです。

1.売上原価勘定を使用した決算整理の概要

商品の決算整理では、「し・くり・くり・し」をすることで、
仕入勘定で売上原価を表しました。

ただし、勘定科目はあくまで仕入ですので、パッと見がわかり辛いです。
そこで、「売上原価勘定」を使用して売上原価を表示する方法があります。

こちらの方法はあまりメジャーな方法ではないのですが、
仕入勘定と区別するという意味で優れていると私は思います。

また、「し・くり・くり・し」はできるのに、
売上原価勘定を使うとできなくなってしまうという方が多く見受けられます。
これは、「し・くり・くり・し」の本質的な意味を理解していないから起こる現象です。

まずは、「し・くり・くり・し」をしっかりと理解して下さい。
そうすれば、こちらの仕訳は取るに足らないものになりますから。

2.売上原価勘定を使用した決算整理

「し・くり・くり・し」の方では、次のように処理しました。

期首棚卸商品:仕入勘定に+
期末棚卸商品:仕入勘定から△

これと同じことを売上原価勘定を使って表せばいいだけです。
つまり、

期首棚卸商品:売上原価勘定に+
期末棚卸商品:売上原価勘定から△

という仕訳をします。

~問題~

商品について決算整理仕訳を行う。
期首商品棚卸高:8,200
期末商品棚卸高:9,500
当期商品仕入高:38,300

・期首分

(売上原価)8,200 (繰越商品)8,200

・期末分

(繰越商品)9,500 (売上原価)9,500

「し・くり・くり・し」風に言いますと、

「うり・くり・くり・うり」

となります。
この仕訳を行うことで、売上原価勘定は次のようになります。

借方:8,200
貸方:9,500

はい、ここで何か足りないことに気が付きますね。
そう、「当期の仕入高」が入っていません。
当期の仕入高は仕入勘定に入っていますので、仕入勘定の全額をひっくり返します。

・当期の仕入高を振替

(売上原価)38,300 (仕入)38,300

「し・くり・くり・し」と違い、こちらの方法では「うり・し」が追加されます。
つまり、売上原価勘定を使って商品の決算整理を行う時の仕訳は次のようになります。

「うり・くり・くり・うり」+「うり・し」

そうしますと、各勘定科目の残高は次のようになります。

売上原価:8,200-9,500+38,300=37,000
繰越商品:8,200-8,200+9,500=9,500
仕入:38,300-38,300=0

なお、「し・くり・くり・し」を使った場合は次のようになります。

繰越商品:8,200-8,200+9,500=9,500
仕入:38,300+8,200-9,500=37,000

どちらも同じ結果となることを確認して下さいね。

3.おわりに

今回は「商品の決算整理3」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
「し・くり・くり・し」の意味がわかっていれば問題ないのかなと思います。
ただし、最後の「うり・し」を忘れないようにして下さいね。
最終的に、残高を確認する癖をつけましょう!

2013年10月31日(木)|日商3級の内容及び解説

商品の決算整理「しくりくりし」の意味は?

こんにちは、KENです。

今回は「商品の決算整理2」についてです。

1.期首商品の決算整理

期首の商品は、前期から繰り越されてきた商品で、
「当期に売ることができる商品」です。
当期に売った商品は当期の費用になりますので、次の仕訳を行います。

(仕入)××× (繰越商品)×××

前期から繰り越されてきた商品を当期に仕入れた形にする仕訳です。

仕入勘定は、決算整理前の時点では、
当期に仕入れた商品のみが計上されています。
これに、この仕訳を追加してあげることで、

前期の売れ残り分+当期の仕入分=当期に売ることができる商品

が仕入勘定の借方に計上されることになります。

2.期末商品の決算整理

期末の売れ残り商品は、「翌期に繰り越す商品」です。
当期に売ることができる商品(仕入勘定の借方)のうち、
売れ残った商品を繰り越します。

(繰越商品)××× (仕入)×××

当期に販売できる商品のうち売れ残り商品を、翌期に繰り越す仕訳です。

この仕訳を行うことで、仕入勘定の貸方に売れ残り商品が計上されます。
この仕訳を行うことで、

当期に売ることができる商品-売れ残り商品=売った商品

が仕入勘定の金額となります。
この金額は、当期に売った商品の仕入れた金額になります。
これを、簿記では「売上原価」と言います。

この決算整理仕訳により、仕入勘定は次のようになります。

・決算整理前

当期に仕入れた商品

・決算整理後

当期に仕入れた商品+前期の売れ残り-当期の売れ残り(=売上原価)

この違いをしっかりと把握しておいて下さいね。

3.覚え方

商品の決算整理仕訳は、前期からの繰越分と翌期への繰越分の仕訳です。
それを並べますと次のようになります。

(仕入)××× (繰越商品)×××
(繰越商品)××× (仕入)×××

簿記の世界では、この仕訳について有名な覚え方があります。
それは、

「し・くり・くり・し」

仕訳を左から読んでいきますと、

「しいれ・くりこししょうひん・しいれ・くりこししょうひん」

となりますので、これを省略して「し・くり・くり・し」です。
簿記をちょっとでもかじったことがあれば知ってる方は多いでしょう。

ただ、これを意味がわからず使っている方が多くいます。

し・くり=前期からの繰越分の振替
くり・し=売れ残り分の翌期への振替

このことをしっかりと理解してから、「し・くり・くり・し」を使いましょう。

4.おわりに

今回は「商品の決算整理2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
「し・くり・くり・し」の意味をちゃんとわかって使うことがすごく大事です。
形だけ覚えても応用が利きませんからね。
大事な部分ですので、しっかりと覚えておきましょう。

2013年10月24日(木)|日商3級の内容及び解説

商品の決算整理は分記法より三分法が大事

こんにちは、KENです。

今回は「商品の決算整理」についてです。

1.概要

商品の期中処理では、分記法と三分法とがありました。
それぞれの処理は次の通りです。

(1)分記法

購入時・販売時は「商品」勘定を使用します。
また、販売時には「商品販売益」勘定を使用します。
売った都度、利益を計算するのが特徴です。

(2)三分法

購入時は「仕入」勘定、販売時は「売上」勘定を使用します。
分記法と比べて、期中の処理はとても簡単です。

このように処理をしてきましたが、決算では次のように処理を行います。

・売れ残り分

来期以降に売るもの(売ればお金になるもの)として、資産に計上

・当期販売分

当期の費用(売上原価と言います)として、費用に計上。

そうしますと、分記法では決算整理は必要ないということがわかります。
なぜならば、分記法はまず商品を購入した時点で資産計上し、
販売した時点で資産の減少と商品販売益という収益を計上するからです。

分記法は期中処理は面倒ですが、決算では何もしなくていいという利点があります。

次に三分法ですが、こちらは全て「収益・費用」で計上しているため、
資産(売れ残り分)を把握することができません。
したがって、決算整理により当期の売れ残り分を資産計上する必要が出てきます。

前回学習した消耗品のところで、期中に消耗品費勘定で処理した場合に似ていますね。
全部費用になってしまっているので、未使用分を資産に振替えましょうというものです。
三分法では仕入として費用にしてしまっているので、未販売分を資産に振替えます。

この売れ残り商品を計上する資産科目は「繰越商品」勘定を使用します。
商品勘定ではなく、繰越商品勘定になりますので間違えないようにして下さい。

三分法は、「仕入」「売上」「繰越商品」の3つに分けて記帳をすることから、三分法と呼ばれているんですね。

2.売れ残り分の取扱い

売れ残った商品は翌期に繰り越すこととなります。
しかし、これだけで決算整理は終わりではありません。

なぜならば、

前期の売れ残り分

があるからです。
前期末に売れ残り分として当期に繰り越された商品は、当期において販売することができます。

つまり、

前期の売れ残り分+当期の仕入分=当期に売ることができる商品

となります。
そして、

当期に売ることができる商品-当期の売れ残り分=当期に販売した商品

となります。
簡単な例で確認しましょう。

例)
前期繰越商品:100個
当期仕入商品:800個
翌期繰越商品:130個

当期に売ることができる商品=100+800=900個
当期に販売した商品=900-130=770個

となります。
そうしますと、次のようになります。

資産(売れ残り分)=130個
費用(当期販売分)=770個

この個数に単価を乗じれば、当期の資産・費用が判明します。
単価も含めた計算は次回やりますので、今回はここまでしっかりと覚えておきましょう。

3.おわりに

今回は「商品の決算整理」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
商品の決算整理は、

売れた分は費用、売れ残った分は資産

となるような仕訳をすることになります。
消耗品のところで学習した、使用分=費用、未使用分=資産と考え方は全く同じです。
簿記の基本的な考え方ですので、前回の復習も合わせてしっかりマスターしましょう。

 

2013年10月20日(日)|日商3級の内容及び解説

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