今回は「貸倒引当金の決算整理3」についてです。
1.既に貸倒引当金が設定してある場合
貸倒引当金は当期末の債権について、見積りを基に、設定します。
あくまで「見積り」ですので、翌期において貸倒れが起きないケースがあります。
そうしますと、前T/Bに貸倒引当金が残ることになります。
この場合、どのように貸倒引当金を設定すればいいでしょうか。
答えは、
いつも通り設定して、前T/Bの残高との差額を繰り入れる
ことになります。
前から繰り入れてある分については、繰り入れなくてOKということですね。
ここで、前<当であれば差額を繰り入れればOKで、
前>当であれば、差額を戻せばOKになります。
前T/Bの貸倒引当金残高と当期繰入額(対象債権額×設定率)が、
前<当 差額を繰り入れ
前>当 差額を戻す
この場合、戻しの勘定科目は「貸倒引当金戻入」という収益勘定を使用します。
戻入は「もどしいれ」とか「れいにゅう」と読みます。
前者の方が多いですが、私は「れいにゅう」と呼んでいます。
どちらでも構いませんけどね。
このように、前年度の残高と当年度の設定額との差額で調整する方法を、
「差額補充法」と言います。
なお、この他に「洗替法」というものもあります。
今回は、差額補充法について確認していきます。
2.貸倒引当金が設定してある場合の処理
例1)
受取手形及び売掛金の期末残高に対して5%の貸倒引当金を設定する。
なお、受取手形の残高は1,000、売掛金の残高は5,000であり、
前T/Bの貸倒引当金残高は200である。
(貸倒引当金繰入)100 (貸倒引当金)100
当期の設定額は、(1,000+5,000)×5%=300となります。
しかし、既に200がありますので、300-200=100を繰り入れればOKとなります。
例2)
上記例1において、前T/Bの貸倒引当金残高が480だった場合
(貸倒引当金) 180 (貸倒引当金戻入)180
当期の設定額は300ですが、既に480あることになります。
したがって、300-480=△180を戻してあげることになります。
なお、貸倒引当金戻入は「収益勘定」ですので、お間違えのないように^^
3.おわりに
今回は「貸倒引当金の決算整理3」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
どのような場合が繰入で、どのような場合が戻入になるかを、しっかり把握しましょう。
それでは、今回もお疲れ様でした^^