2013年7月の記事一覧

かなり使える修正仕訳の上級テクニック

今回は「修正仕訳2」についてです。

1.修正仕訳の上級テクニック

前回のメルマガで修正仕訳の方法をお伝えしました。
やり方は、下記の通りです。

(1)誤った仕訳をする
(2)誤った仕訳の逆仕訳(※)をする
(3)正しい仕訳をする
(4)上記(2)と(3)の仕訳を合算
(5)検算する

この方法であれば、修正仕訳を間違えることはありません。
しかし、若干手間がかかります。
それが、(4)の部分です。

仕訳を合算してかぶっている項目を消していくことになりますので、手間がかかります。
そのため、その作業を省略してしまうのが今回紹介するテクニックです。

やり方としては、

(1)誤った仕訳をする
(2)正しい仕訳をする
(3)(1)と(2)を比べてかぶっている項目は無視する
(4)かぶっていない項目について次の仕訳をする
  
  誤った仕訳部分 → 逆仕訳
  正しい仕訳部分 → そのまま仕訳

(5)検算する

となります。
例題と共にみていきましょう。

例1)
売掛金1,000が当座預金に入金されたが、誤って現金入金として処理した。

(1)誤った仕訳
(現金)1,000 (売掛金)1,000

(2)正しい仕訳
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

(3)(1)と(2)を比べてかぶっている項目は無視する
(現金)1,000 (売掛金)1,000
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

この場合、貸方売掛金1,000がかぶっています。
つまり、この仕訳は合っているということで無視します。

(4)かぶっていない項目について次の仕訳をする
  
  誤った仕訳部分 → 逆仕訳
  正しい仕訳部分 → そのまま仕訳

(当座預金)1,000 (現金)1,000  → 解答
~~~~~~~~~~~    ~~~~~~~
正しい仕訳     誤った仕訳

(5)検算する

誤った仕訳+訂正仕訳=正しい仕訳 となればOKです。

(現金)1,000 (売掛金)1,000
(当座預金)1,000 (現金)1,000
        ↓
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

上記(2)の正しい仕訳と一致していることを確認して下さい。

例2)
A商店はB商店から商品3,500を仕入れ代金は掛けとしたが、貸借逆に仕訳していた。

(1)誤った仕訳
(買掛金)3,500 (仕入)3,500

(2)正しい仕訳
(仕入)3,500 (買掛金)3,500

(3)(1)と(2)を比べてかぶっている項目は無視する
(買掛金)3,500 (仕入)3,500
(仕入)3,500 (買掛金)3,500

この場合、かぶっている項目はありません。

(4)かぶっていない項目について次の仕訳をする
  
  誤った仕訳部分 → 逆仕訳
  正しい仕訳部分 → そのまま仕訳

(仕入)3,500 (買掛金)3,500  →逆仕訳
(仕入)3,500 (買掛金)3,500  →そのまま仕訳
       ↓
(仕入)7,000 (買掛金)7,000  →解答

(5)検算

誤った仕訳+訂正仕訳=正しい仕訳 となればOKです。

(買掛金)3,500 (仕入)3,500
(仕入)7,000 (買掛金)7,000
↓
(仕入)3,500  (買掛金)3,500

上記(2)の正しい仕訳と一致していることを確認して下さい。

ただし、「貸借逆に切ってしまった」という問題の場合、

・正しい仕訳×2

の方が早く解けます。
慣れていれば、こちらの仕訳をするようにして下さい。

このテクニックは最初はわかり辛いかもしれません。
しかし、修正仕訳は2級・1級と進むとどんどん複雑化してきます。
その際に、パパッと解けるようにするためにも、
ぜひ身につけておいてもらいたいテクニックです。

ポイントは、

同じ項目は無視すること

です。
その分は仕訳をしないで済みますので、時間が短縮できます。
また、仕訳をしないということは、ケアレスミスの可能性も減らせますよ!

また、3/10~3/20までの期間はメールを頂いてもお返事ができません。
3/21以降に返信することになりますので、それでも良ければメール下さいね。

3.おわりに

今回は「修正仕訳2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
難しそうに感じたかも知れませんが、非常に合理的な方法です。
これを覚えてしまえば、修正仕訳など恐れる必要はありません。
ぜひぜひ、マスターして下さい。

2013年07月28日(日)|日商3級の内容及び解説

修正仕訳の基本的な仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、
内容を理解してから解く
ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。
~問題~

1.A商店はB商店から商品1,600を仕入れ、代金は掛けとしたが、貸借逆に記帳した。

2.A商店はB商店から商品3,500を仕入れ、前払金1,000を相殺して残額は現金で支払ったが、その際に前払金を前受金として仕訳してしまった。

3.A商店はB商店から商品3,000を仕入れ、代金は1,000を他人振出小切手で支払い、残額をC商店振出A商店宛の為替手形で支払った。その際の仕訳は下記の通り。
(仕入)3,000 (当座預金)1,000
       (受取手形)2,000
~解答~

1.A商店はB商店から商品1,600を仕入れ、代金は掛けとしたが、貸借逆に記帳した。

(仕入)3,200 (買掛金)3,200
(1)誤った仕訳
(買掛金)1,600 (仕入)1,600

(2)逆仕訳
(仕入)1,600  (買掛金)1,600

(3)正しい仕訳
(仕入)1,600  (買掛金)1,600

(4)上記(2)と(3)を合算
(仕入)1,600  (買掛金)1,600
(仕入)1,600  (買掛金)1,600
↓
(仕入)3,200  (買掛金)3,200 → 解答

※正しい仕訳×2=(仕入)3,200 (買掛金)3,200 でもOKです
2.A商店はB商店から商品3,500を仕入れ、前払金1,000を相殺して残額は現金で支払ったが、その際に前払金を前受金として仕訳してしまった。

(1)誤った仕訳
(仕入)3,500 (前受金)1,000
              (現金)2,500

(2)逆仕訳
(前受金)1,000  (仕入)3,500
(現金)2,500

 (3)正しい仕訳
(仕入)3,500 (前払金)1,000
              (現金)2,500

 (4)上記(2)と(3)を合算
(前受金)1,000  (仕入)3,500
(現金)2,500
(仕入)3,500 (前払金)1,000
              (現金)2,500
        ↓
(前受金)1,000  (前払金)1,000
3.A商店はB商店から商品3,000を仕入れ、代金は1,000を他人振出小切手で支払い、残額をC商店振出A商店宛の為替手形で支払った。その際の仕訳は下記の通り。
(仕入)3,000 (当座預金)1,000
            (受取手形)2,000
(当座預金)1,000 (現金)1,000
(受取手形)2,000 (支払手形)2,000

(1)誤った仕訳
(仕入)3,000 (当座預金)1,000
       (受取手形)2,000

(2)逆仕訳
(当座預金)1,000  (仕入)3,000
(受取手形)2,000

(3)正しい仕訳
(仕入)3,000 (現金)1,000
       (支払手形)2,000

 (4)上記(2)と(3)を合算
(当座預金)1,000  (仕入)3,000
(受取手形)2,000
(仕入)3,000 (現金)1,000
       (支払手形)2,000
        ↓
(当座預金)1,000 (現金)1,000
(受取手形)2,000 (支払手形)2,000  →解答
※1 「他人」振出小切手で支払い
当座預金ではなく現金の減少になります。
当座預金を減少するのは「自己」振出小切手のケースです。
※2 C商店振出A商店宛の為替手形
名宛人がA商店ですので、支払うのはA商店になります。
したがって、受取手形の減少ではなく、支払手形の増加となります。

2013年07月25日(木)|仕訳問題

絶対間違えない修正仕訳のテクニック

今回は「修正仕訳」についてです。

1.修正仕訳の概要

仕訳を切った際に、金額や科目を間違ってしまったということはよくあります。
また、仕訳を切ること自体を忘れていたということもあります。
仕訳の間違いのことを「誤記帳」、仕訳を忘れていたことを「記帳漏れ」といいます。

誤記帳と記帳漏れの処理は次のように行います。

・誤記帳

誤った仕訳は修正しなければなりませんので、これを直す処理をします。
誤記帳を直す仕訳のことを、「修正仕訳」と呼びます。

・記帳漏れ

仕訳をするのを忘れていたということは、当然ですが仕訳をしなければなりません。
元々仕訳をしていな状態ですから、その仕訳をしてあげればおしまいです。

「記帳漏れ=普通に仕訳する」

ということですね。

例)
A商店はB商店から商品1,000を仕入れ、代金は現金で払ったが、処理を失念していた。

(仕入)1,000 (現金)1,000

失念していたのであれば、気付いた時にその仕訳をしなければなりません。
よって、そのまま普通に仕訳すればOKです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

・誤記帳 → 修正仕訳
・記帳漏れ → そのまま仕訳

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

2.修正仕訳の極意

誤記帳の場合、仕訳をしたけど間違っていましたという状況です。
この場合は修正仕訳を行う訳ですが、修正仕訳の手順は次の通りです。

(1)誤った仕訳をする
(2)誤った仕訳の逆仕訳(※)をする
(3)正しい仕訳をする
(4)上記(2)と(3)の仕訳を合算
(5)検算する

※逆仕訳=元の仕訳と貸借逆にする仕訳。反対仕訳とも言います。

この手順があれば修正仕訳は完璧です。
苦手な方が多い項目ですが、この手順に従えば間違えることはありません!

例1)
売掛金1,000が当座預金に入金されたが、誤って現金入金として処理した。

(当座預金)1,000 (現金)1,000

(1)誤った仕訳
(現金)1,000 (売掛金)1,000

(2)誤った仕訳の逆仕訳
(売掛金)1,000 (現金)1,000

(3)正しい仕訳
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

(4)上記(2)と(3)の仕訳を合算
(売掛金)1,000 (現金)1,000
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

※かぶっている項目:(売掛金)1,000
   ↓
(当座預金)1,000 (現金)1,000  → 解答

(5)検算

誤った仕訳+訂正仕訳=正しい仕訳 となればOKです。

(現金)1,000 (売掛金)1,000
(当座預金)1,000 (現金)1,000
        ↓
(当座預金)1,000 (売掛金)1,000

上記(3)の正しい仕訳と一致していることを確認して下さい。

例2)
A商店はB商店から商品3,500を仕入れ代金は掛けとしたが、貸借逆に仕訳していた。

(仕入)7,000 (買掛金)7,000

(1)誤った仕訳
(買掛金)3,500 (仕入)3,500

(2)誤った仕訳の逆仕訳
(仕入)3,500 (買掛金)3,500

(3)正しい仕訳
(仕入)3,500 (買掛金)3,500

(4)上記(2)と(3)の仕訳を合算
(仕入)3,500 (買掛金)3,500
(仕入)3,500 (買掛金)3,500
    ↓
(仕入)7,000 (買掛金)7,000  → 解答

(5)検算

誤った仕訳+訂正仕訳=正しい仕訳 となればOKです。

(買掛金)3,500 (仕入)3,500
(仕入)7,000 (買掛金)7,000
↓
(仕入)3,500  (買掛金)3,500

上記(3)の正しい仕訳と一致していることを確認して下さい。

また、「貸借逆に切ってしまった」という問題の場合、次のように解くこともできます。

・正しい仕訳×2

貸借逆の場合、逆仕訳は正しい仕訳になります。
これに正しい仕訳を加えると答えになる訳ですから、正しい仕訳×2が答えになりますね。
上記例ですと、

(仕入)3,500  (買掛金)3,500  ×2 =(仕入)7,000  (買掛金)7,000

となります。
簡単ですね。

ただし、慣れるまでは原則通り解くことをお勧めします!

3.おわりに

今回は「修正仕訳」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
苦手な方が多い論点ですが、基本に忠実に解けば必ず解けます。
まずは、解き方をマスターして下さいね。

2013年07月24日(水)|日商3級の内容及び解説

債券売却の仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

1.A商店はG社社債300,000(額面1口当たり100円)を1口当たり88円で購入し、代金は手数料15,000とともに現金で支払った。

2.A商店は上記1の社債のうち100,000を1口当たり86円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

3.A商店は上記1の社債のうち600口を1口当たり95円で売却し、代金は現金で受け取った。

~解答~

1.A商店はG社社債300,000(額面1口当たり100円)を1口当たり88円で購入し、
  代金は手数料15,000とともに現金で支払った。

(売買目的有価証券)279,000  (現金)279,000

300,000×88%(88/100)+15,000=279,000

2.A商店は上記1の社債のうち100,000を1口当たり86円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

(未 収 金)86,000  (売買目的有価証券)93,000
(有価証券売却損)7,000

~売却代金~

100,000×86%(86/100)=86,000

額面は100ですので、それを86で売った訳ですから、86/100を乗じればOKです。

~売却簿価~

279,000×100,000/300,000=93,000

何口売ったのか問題文からわかりませんが、300,000分の社債のうち
100,000を売ったというデータから、100,000/300,000を使用すればOKとなります。

~売却損~

86,000-93,000=△7,000

3.A商店は上記1の社債のうち600口を1口当たり92円で売却し、代金は現金で受け取った。

(未 収 金)57,000  (売買目的有価証券)55,800
              (有価証券売却益)1,200

~売却代金~

600×95=57,000

こちらはオーソドックスな問題です。
600口を1口当たり95円で売ったので、600×95になります。

~売却簿価~

279,000×20%(600/3,000)=55,800

この問題では売った口数しかわかりません。
そのため、まずは購入した口数を算出します。
300,000÷100=3,000口が購入口数になります。
あとは、3,000口のうち600口を売却したので、600/3,000を乗じればOKです。

~売却益~

57,000-55,800=1,200

どの問題も貸借の一致は必ず確認しましょう!

 

2013年07月14日(日)|仕訳問題

債券の売却損益計算

こんにちは、KENです。

さて今回は「有価証券3」についてです。

1.債券の売却

債券を売る場合も、基本は株式を売る場合と同じです。
売却時の基本的な考え方は次の通りです。

~~~有価証券の売却~~~~~~~~~~~~

売却時の簿価と売値との差額>0 → 売却益
      〃          <0 → 売却損

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで問題となるのは、売却時の簿価でしたね。
債券の場合、「1口当たり○円」で購入しています。
この単価を自分で算定して、売却損益を計算することになります。

例1)債券の購入
A商店はG社社債200,000(額面1口100円)を1口当たり90円で
購入し代金は購入手数料10,000とともに現金で支払った。

(売買目的有価証券)190,000  (現金)190,000

※取得価額
第1法
200,000×90/100+10,000=190,000
第2法
200,000×90%+10,000=190,000

注意)
分数を計算する場合に、電卓で叩く時は、「×90÷100」というように、
「掛けてから割る」ようにして下さい。
割ってから掛けると電卓が走ってしまう可能性があります。

例えば、1×3/3=1ですが、先に割ってから掛けると、0.999999999・・・となります。
こうならないようにするためにも、必ず「掛けてから割る」ことをお忘れなく。

例2)債券の売却(売却損)
A商店は上記例1の社債のうち500口を1口あたり93円で売却し、
代金は月末に受け取ることとした。

(未 収 金) 46,500  (売買目的有価証券)47,500
(有価証券売却損)1,000

ポイントは、売却代金(未収金)と簿価(売買目的有価証券)です。
1つずつ確認しましょう。

~売却代金~

500口を1口当たり93円で売却していますので、次の算式になります。

500×93=46,500

~簿価~

190,000(2,000口)の債券を500口売却していますので、次の算式になります。

190,000×500/2,000=47,500

また、簡易的には次の算式がお勧めです。

190,000×25%(500/2,000)=47,500

売却代金と簿価の算定は、使う金額が異なりますので、注意して下さい。

あとは、売却損を貸借差額で出すだけです。

46,500-47,500=△1,000(売却損)

例3)債券の売却(売却益)
A商店は上記例1の社債のうち800口を1口あたり99円で売却し、
代金は月末に受け取ることとした。

(未収金)79,200  (売買目的有価証券)76,000
            (有価証券売却益) 3,200

未収金:800×99=79,200
売買目的有価証券:190,000×40%(800/2,000)=76,000
売却益:79,200-76,000=3,200(差額)

貸借の一致は必ず確認しましょう!

2.おわりに

今回は「有価証券3」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
債券の売却までできれば、有価証券はコンプリートです。
ぜひ、何度も読み返して確認して下さい。

3回に渡って解説した有価証券もこれでおしまいです。
お疲れ様でした^^

2013年07月11日(木)|日商3級の内容及び解説

有価証券の売却仕訳問題/税理士が教える簿記テクニック

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

1.A商店は、F社株式を1株あたり580で120株購入し代金は月末に支払うこととした。
  なお、手数料2,400は現金で支払った。

2.上記1で購入した株式のうち40株を1株当たり560で売却し代金は月末に受け取ることとした。

3.上記1で購入した株式のうち60株を1株当たり700で売却し代金は現金で受け取った。

 

~解答~

1.A商店は、F社株式を1株あたり580で120株購入し代金は月末に支払うこととした。
  なお、手数料2,400は現金で支払った。

(売買目的有価証券)72,000  (未払金)69,600
                   (現 金) 2,400

2.上記1で購入した株式のうち40株を1株当たり560で売却し代金は月末に受け取ることとした。

(未 収 金)22,400   (売買目的有価証券)24,000
(有価証券売却損)1,600

売却価格:560×40=22,400
1株当たり簿価(※1):72,000÷120株=600
売却簿価(※1):600×40株=24,000
売却損益:22,400-24,000=△1,600

※1 72,000×40/120=24,000 でもOK

3.上記1で購入した株式のうち60株を1株当たり700で売却し代金は現金で受け取った。

( 現 金 )42,000   (売買目的有価証券)36,000
(有価証券売却損)  6,000

売却価格:700×60=42,000
売却簿価(※2):600×60株=36,000
売却損益:42,000-36,000=6,000

※2 72,000×60/120=36,000 でもOK

2013年07月08日(月)|仕訳問題

有価証券の売却損益計算/税理士が教える簿記テクニック

こんにちは、KENです。

今回は「有価証券2」についてです。

1.売買目的有価証券の概要

有価証券は、その保有目的によって勘定科目が変わります。
そのうち、日商3級で学習する有価証券は「売買目的有価証券」です。
これは、

短期的な価格変動により利益を得ることを目的とするもの

になります。
100円で買って110円で売って10円儲かるといった感じです。

売買目的有価証券以外の保有目的の場合、通常は長期間保有します。
したがって、有価証券を売却することはあまりありません。

しかし、売買目的有価証券の場合には、売買をすることが最初から
目的ですので、頻繁に売買を行うことになります。
その結果、日商3級では売買目的有価証券の売却が多々出てくることとなります。

とりあえず、

「3級で学習する有価証券(売買目的有価証券)は、しょっちゅう売買をする」

ということを頭に入れておいて下さい。
なお、この売買目的有価証券は、実務上ではほとんど出てきません。
売買目的で有価証券を買う会社は、証券会社くらいですから。

ですので、あまり使わない項目になりますが、試験対策だと割り切って頂ければ幸いです。

なお、参考までに、他の保有目的を紹介します。

(1)子会社株式又は関係会社株式
   主として別会社の支配を目的とするものです。

(2)満期保有目的有価証券
   満期までの、利息の受け取りを目的とするものです。
  
(3)その他有価証券
   上記以外の目的で保有するものです。
   基本的には、取引先の株式などが多いです。

2.株式の売却

上記1でお話ししましたように、売買目的有価証券は頻繁に売買がされます。
試験上もしょっちゅう売買が行われますので、ぜひ売却の論点は押さえて下さい。

ただし、真新しい論点はありません。
基本は、次の通りです。

~~~有価証券の売却~~~~~~~~~~~~

売却時の簿価と売値との差額>0 → 売却益
        〃        <0 → 売却損

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ということで、固定資産の売却と何ら変わりはありません。
有価証券を売却して、儲かれば売却益、損したら売却損です。

ただし、有価証券の場合には「一部売却」がよくあります。
一部売却とは、100株買って、そのうちの30株を売るといったように、
持っている有価証券の全てを売却するのではなく、一部を売却するケースのことです。

この場合、次の算式により簿価を算定します。

1株(1口)当たりの簿価×売却した株数(口数)

もちろん、1株当たりの簿価は購入時の付随費用を加味した金額です。
具体例とともに確認しましょう。

例1)
A商店は、F社株式80株を1株当たり300で購入し、手数料2,400と共に代金は現金で支払った。

(売買目的有価証券)26,400  (現金)26,400

例2)
A商店は、上記例1の株式20株を1株当たり320で売却し、代金は月末に受け取ることとした。

(未 収 金) 6,400  (売買目的有価証券)6,600
(有価証券売却損)200

~解き方~

①@320×20株=6,400 → 売却代金(未収金)
②26,400÷80株=330 → 1株当たり簿価
③@330×20株=6,600 → 売却した株式の簿価
④6,400-6,600=△200 → 有価証券売却損

1株当たりの簿価は、「総額÷持株数」で算定します。
26,400が総額で、80株持っている訳ですから、330が1株当たり簿価になります。

ここまで出ましたら、次に、「簿価×(売った)株数」で売却簿価を出します。
あとは、売値と簿価の差額で売却損益を計算すればOKです。

なお、もう少し簡単に解くならば、次の算式が使えます。

売却簿価=26,400×20/80(25%)=6,600

つまり、80持っていた株式を20売る訳ですから、20/80(=25%)の売却です。
これに簿価である26,400を乗じてあげれば、売却簿価を算定することができます。

慣れてきたらこの方法で解くことをお勧めします。
もちろん、慣れるまでは原則通りゆっくり解いて頂いてOKです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
・ポイント

売値>簿価 → 売却益
売値<簿価 → 売却損

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

3.おわりに
今回は「有価証券2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
有価証券の売却では、どの数字をどう使っていいかわからないという方が多くいます。
まずは全体像を理解して、そこから取り組むようにしてみて下さい。

2013年07月06日(土)|日商3級の内容及び解説, 資産関係

有価証券の仕訳問題/税理士が教える簿記テクニック

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

1.A商店は、F社株式を1株あたり170で20株購入し代金は月末に支払うこととした。
  なお、手数料340は現金で支払った。

2.A商店は、額面6,000のF社社債(額面1口100)を1口あたり96.5で購入し、
  代金は手数料200とともに小切手で支払った。

 

~解答~

1.A商店は、F社株式を1株あたり170で20株購入し代金は月末に支払うこととした。
  なお、手数料340は現金で支払った。

(売買目的有価証券)3,740 (未払金)3,400
(現金)340

取得価額=@170×20株+340=3,740

私がよく出題する形式ですね(笑)
代金は月末払ですので、未払金勘定を使用します。
手数料分を、売買目的有価証券に加算することを忘れずに!

 

2.A商店は、額面6,000のF社社債(額面1口100)を1口あたり96.5で購入し、
  代金は手数料200とともに小切手で支払った。

(売買目的有価証券)5,990 (当座預金)5,990

取得価額=6,000×96.5%+200=5,990

前回の記事でお話ししたテクニックを使いました。
普通に計算するなら、

@96.5×6,000÷100+200=5,990

となります。
どちらの計算方法でもOKです。

 

2013年07月04日(木)|仕訳問題

お前が飲まないで本当に良かった

今日は職場の飲み会があります。
飲み会と言うと楽しい!というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、
実は、私はそれほど楽しみではありません。

なぜなら、

私はほとんどお酒が飲めません。

飲んでも、ビールをコップ1杯程度ですかね。
ジョッキで飲むと・・・倒れます^^;

お酒を飲める人って羨ましいんですよね。
なんか、どこに行っても楽しそうで。
ラーメン屋さんで、餃子にビール!なんて頼んでる方を見ると、ほんと羨ましいです。

ただ、私の父曰く、

「お前みたいにだらしがない奴が酒なんて飲まないで良かったよ」

とのこと。
まぁ、確かに、もし飲めたらお酒に溺れてしまうかも知れません^^;
神様はそれをわかってたんですかねぇ(笑)

でも、とりあえず一滴も飲めない訳ではないので、多少付き合いで飲むことができます。
ちょうどいいのかも知れませんね。

 

2013年07月02日(火)|コラム

有価証券の取得価額算定とマル秘(?)電卓テクニック/税理士が教える簿記テクニック

こんにちは、KENです。

今回は「有価証券1」についてです。

1.有価証券の概要

お金を国や企業に投資すると、投資したことを証明する券を受け取ります。
この券を持っていることで、各種の特典を受けることが可能になります。
したがって、この券自体が価値を有することになります。

そして、これを簿記では「価値がある券を有する」ということで、有価証券と呼びます。
有価証券には次の2種類があります。

(1)株式
(2)債券(国債、地方債、社債)

どちらの場合も日商3級では「売買目的有価証券(資産)」勘定を使用します。

また、有価証券を取得する場合には、証券会社の手数料が掛かります。
この手数料の取り扱いは・・・大丈夫ですよね?

売買目的有価証券の取得価額=購入価格+付随費用

仕入や固定資産を取得した場合の付随費用の扱いと同じです。
基本的に「購入時の付随費用は、取得価額に入れる!」って押さえておけばOKですね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
・ポイント

売買目的有価証券の取得価額=購入価格+付随費用

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

2.有価証券の計算方法

有価証券の購入価格は、「購入単価×数量」で計算をします。
購入単価は、株式の場合「1株あたり」、債券の場合「1口あたり」を指します。
単価は必ず問題文に与えられますので、チェックしましょう。

そして、単価に数量を掛けたものが購入価格となります。
この購入価格に付随費用を足したものが、取得価額となります。。

例1)株式の取得
A商店は、E社の株式を1株あたり30で100株購入し、証券会社への手数料150とともに現金で支払った。

(売買目的有価証券)3,150  (当座預金)3,150

取得価額=@30×100株+150=3,150

例2)債券の取得
A商店は、額面10,000のE社社債(額面1口あたり100)を1口あたり98で購入し、証券会社への手数料840とともに現金で支払った。

(売買目的有価証券)10,640  (当座預金)10,640

取得価額=@98×10,000÷100+840=10,640

債券の場合、上記例題のような出題のされ方をします。
御覧の通り、問題文から直接、数量を把握することができません。

そこで、額面10,000の債券で、1口あたり100という情報から、数量を計算します。
10,000÷100=100口購入したことがわかります。
そうしましたら、単価×数量で、98×100=9,800が購入価格となります。
ちょっと面倒ですね。

ここでちょっとしたテクニック。
債券の1口は100が基本です。
そして、この100をいくらで購入したかということになります。

先ほどの例ですと、額面10,000を98で購入していますので、次の算式を使います。

10,000×98%=9,800

先ほどの98×10,000÷100を展開して、上記算式になります。
展開して10,000×98÷100として「98÷100」を98%にしただけですね。

なお、98%は、「×0.98」としてもいいですが、電卓に「%」ボタンがあれば、
「%」を押した方が確実です。
この機能は結構使いますので、これを機に電卓を購入してもいいかもですね^^

債券では、このテクニックを多用しますので、余裕のある方は覚えておいて下さい。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
・ポイント

債券の購入価格=額面総額×1口単価×「%」

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

3.おわりに

今回は「有価証券1」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
債券のところは、苦手な方が多い項目です。
ですので、今回はここまでにして、次回続きを見ていきましょう。

2013年07月01日(月)|日商3級の内容及び解説, 資産関係

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