こんにちは、KENです。
今回は「商品有高帳」についてです。
1.商品有高帳の概要
商品を購入した・販売したと言った場合に、何も作業をしなければ今現在の
商品在庫がどのような状況になっているかがわかりません。
そこで、商品有高帳という帳簿を作成して商品の増減をチェックします。
商品有高帳は商品別に作成します。
記載する事項は「単価」「数量」「仕入価格」になります。
例えば、商品1,000を5個仕入れたら、「単価1,000」「数量5」「仕入価格5,000」となります。
仕入時の処理はこれでいいのですが、問題は販売(「払出」とも言います)時です。
商品を販売した際に、「いつ買った商品を販売したのか」は気にしません。
しかし、商品の仕入単価は一定とは限りません。
商品販売では、売上からら仕入を差し引いて利益を計算します。
売上は売った金額ですので簡単に計算できます。
しかし、それに対応する仕入価格がわからなければ、利益を算定できません。
そこで、仕入価格を決定させるために、ルールを設けます。
「単価」「数量」「仕入価格」のうち、数量は仕入れた量ですからわかりますし、
仕入価格は「単価×数量」で算定できます。
つまり、単価を計算するルールを設ければ、全ての問題は解決することになります。
日商3級で学習する単価を計算するルールには、
「先入先出法」と「移動平均法」とがあります。
今回は、先入先出法について確認していきます。
2.先入先出法
先入先出法は、「先に仕入れた商品を先に払出す」ものとみなして、単価を計算します。
例)
4/1 商品Aを1,000で3個仕入れ
4/10 商品Aを900で7個仕入れ
4/15 商品Aを1,300で2個販売
4/18 商品Aを1,400で5個販売
4/1 単価1,000 数量3 仕入価格3,000
4/10 単価900 数量7 仕入価格6,300
となります。
単純に、仕入れてきた単価をそのまま用いて仕入価格を計算します。
4/15 商品Aを1,300で2個販売
この日の払出しは2個です。
先入先出法では、「先に仕入れた商品を先に払出す」ので、
4/1に仕入れた商品から払出されたものとみなします。
単価1,000 数量2 仕入価格2,000
この金額が販売した商品の仕入価格になります。
なお、販売価格は1,300×2=2,600となります。
2,000の商品を2,600で販売したので、600の利益が出た計算になります。
4/18 商品Aを1,400で5個販売
この日の払出しは5個です。
同じように、先に仕入れたものから先に払出します。
ただし、4/1に仕入れた商品は3個仕入れて2個販売していますので、残り1個です。
5個と1個の差額4個は、次に仕入れた4/10分から払出されたものとみなします。
単価1,000 数量1 仕入価格1,000
単価900 数量4 仕入価格3,600
仕入価格合計 4,600
この金額が販売した商品の仕入価格になります。
なお、販売価格は1,400×5=7,000となります。
4,600の商品を7,000で販売したので、2,400の利益が出た計算になります。
この流れを商品有高帳で示しますと次のようになります。
摘要 受入 払出 残高
4/1 仕入 3×1,000=3,000 3×1,000=3,000
4/10仕入 7×900=6,300 3×1,000=3,000
7×900=6,300
4/15売上 2×1,000=2,000 1×1,000=1,000
7×900=6,300
4/18売上 1×1,000=1,000
4×900=3,600 3×900=2,700
ちょっと見辛いですね、申し訳ありません。
商品有高帳では、摘要欄に「仕入or売上」を書き、仕入の場合には受入欄に、
売上の場合には払出欄に「仕入単価」を書きます。
払出欄に「売上単価」を書いてしまう人がいますので、注意して下さい。
そして、残高欄に単価別の残高を載せます。
混ざってしまわないように、分けて書きます。
この際に、残高が商品の流れと一致しているかを確認して下さい。
商品の流れを、「仕入=+」、「売上=△」としますと次のようになります。
+3+7△2△5=+3
そして、この+3は最後に仕入れた時の単価を使用します。
最後に仕入れた数が、+3に満たない場合にはその前に仕入れた単価も使用します。
今回のケースでは、最後に5個仕入れていますので、+3を超えていますから、残高は最後に仕入れた単価を使えばOKです。
なお、仮に+9だったとした場合、最後に仕入れた7個とその前に仕入れた1個が残高となります。
~~~~~検算の仕方~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最終仕入個数>残高 ∴最終仕入単価のみ使用
最終仕入個数<残高 ∴最終仕入単価及びその直前の単価の両方を使用
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3.おわりに
今回は「商品有高帳」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
先入先出法は、モノの流れと単価の計算が一致しますので、分かり易かったと思います。
先に仕入れたものから先に払出すという単純な方法ですから。
先入先出法は、単純ですので実務でも多用されます。
それに対応して、試験上も頻出する項目ですのでしっかりと押さえておきましょう。