2013年8月の記事一覧

先入先出法の記帳テクニック

こんにちは、KENです。

今回は「商品有高帳」についてです。

1.商品有高帳の概要

商品を購入した・販売したと言った場合に、何も作業をしなければ今現在の
商品在庫がどのような状況になっているかがわかりません。
そこで、商品有高帳という帳簿を作成して商品の増減をチェックします。

商品有高帳は商品別に作成します。
記載する事項は「単価」「数量」「仕入価格」になります。

例えば、商品1,000を5個仕入れたら、「単価1,000」「数量5」「仕入価格5,000」となります。

仕入時の処理はこれでいいのですが、問題は販売(「払出」とも言います)時です。
商品を販売した際に、「いつ買った商品を販売したのか」は気にしません。
しかし、商品の仕入単価は一定とは限りません。

商品販売では、売上からら仕入を差し引いて利益を計算します。
売上は売った金額ですので簡単に計算できます。
しかし、それに対応する仕入価格がわからなければ、利益を算定できません。

そこで、仕入価格を決定させるために、ルールを設けます。
「単価」「数量」「仕入価格」のうち、数量は仕入れた量ですからわかりますし、
仕入価格は「単価×数量」で算定できます。

つまり、単価を計算するルールを設ければ、全ての問題は解決することになります。
日商3級で学習する単価を計算するルールには、

「先入先出法」と「移動平均法」とがあります。

今回は、先入先出法について確認していきます。

2.先入先出法

先入先出法は、「先に仕入れた商品を先に払出す」ものとみなして、単価を計算します。

例)
4/1 商品Aを1,000で3個仕入れ
4/10 商品Aを900で7個仕入れ
4/15 商品Aを1,300で2個販売
4/18 商品Aを1,400で5個販売

4/1 単価1,000 数量3 仕入価格3,000
4/10 単価900 数量7 仕入価格6,300

となります。
単純に、仕入れてきた単価をそのまま用いて仕入価格を計算します。

4/15 商品Aを1,300で2個販売

この日の払出しは2個です。
先入先出法では、「先に仕入れた商品を先に払出す」ので、
4/1に仕入れた商品から払出されたものとみなします。

単価1,000 数量2 仕入価格2,000

この金額が販売した商品の仕入価格になります。

なお、販売価格は1,300×2=2,600となります。
2,000の商品を2,600で販売したので、600の利益が出た計算になります。

4/18 商品Aを1,400で5個販売

この日の払出しは5個です。
同じように、先に仕入れたものから先に払出します。
ただし、4/1に仕入れた商品は3個仕入れて2個販売していますので、残り1個です。
5個と1個の差額4個は、次に仕入れた4/10分から払出されたものとみなします。

単価1,000 数量1 仕入価格1,000
単価900 数量4 仕入価格3,600
        仕入価格合計 4,600

この金額が販売した商品の仕入価格になります。

なお、販売価格は1,400×5=7,000となります。
4,600の商品を7,000で販売したので、2,400の利益が出た計算になります。

この流れを商品有高帳で示しますと次のようになります。

   摘要      受入      払出      残高
4/1 仕入   3×1,000=3,000            3×1,000=3,000
4/10仕入   7×900=6,300              3×1,000=3,000
                               7×900=6,300
4/15売上             2×1,000=2,000  1×1,000=1,000
                                 7×900=6,300
4/18売上                          1×1,000=1,000   
                    4×900=3,600    3×900=2,700

ちょっと見辛いですね、申し訳ありません。
商品有高帳では、摘要欄に「仕入or売上」を書き、仕入の場合には受入欄に、
売上の場合には払出欄に「仕入単価」を書きます。

払出欄に「売上単価」を書いてしまう人がいますので、注意して下さい。

そして、残高欄に単価別の残高を載せます。
混ざってしまわないように、分けて書きます。
この際に、残高が商品の流れと一致しているかを確認して下さい。

商品の流れを、「仕入=+」、「売上=△」としますと次のようになります。

+3+7△2△5=+3

そして、この+3は最後に仕入れた時の単価を使用します。
最後に仕入れた数が、+3に満たない場合にはその前に仕入れた単価も使用します。
今回のケースでは、最後に5個仕入れていますので、+3を超えていますから、残高は最後に仕入れた単価を使えばOKです。

なお、仮に+9だったとした場合、最後に仕入れた7個とその前に仕入れた1個が残高となります。

~~~~~検算の仕方~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

最終仕入個数>残高  ∴最終仕入単価のみ使用
最終仕入個数<残高  ∴最終仕入単価及びその直前の単価の両方を使用

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

3.おわりに

今回は「商品有高帳」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
先入先出法は、モノの流れと単価の計算が一致しますので、分かり易かったと思います。
先に仕入れたものから先に払出すという単純な方法ですから。

先入先出法は、単純ですので実務でも多用されます。
それに対応して、試験上も頻出する項目ですのでしっかりと押さえておきましょう。

2013年08月25日(日)|日商3級の内容及び解説

一部現金取引の仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~
1.次の取引を、第1法・第2法で起票しなさい
A商店はB商店に商品8,000を売上げ、代金はB商店振出の
小切手5,000と現金3,000で受け取った。(5伝票制)

第1法

第2法

 

2.次の伝票から取引を推定しなさい

(出金伝票)
買掛金 9,000

(振替伝票)
仕入22,000   買掛金22,000
買掛金3,000  支払手形3,000
買掛金2,000  当座預金2,000

~解答~

1.次の取引を、第1法・第2法で起票しなさい
A商店はB商店に商品8,000を売上げ、代金はB商店振出の
約束手形5,000と現金3,000で受け取った。(5伝票制)

まずは、仕訳をしてしまいましょう。

(受取手形)5,000  (売上)8,000
(現金)  3,000

第1法
この方法では、取引を分解します。

(受取手形)5,000  (売上)5,000
(現金)  3,000  (売上)3,000

(売上伝票)
売掛金 5,000
売掛金3,000

(振替伝票)
受取手形5,000 売掛金5,000

(入金伝票)
売掛金3,000

<検算>
(売掛金)5,000 (売上)5,000
(売掛金)3,000 (売上)3,000
(受取手形)5,000 (売掛金)5,000
(現金)3,000  (売掛金)3,000

借方・貸方の売掛金5,000・3,000がかぶっていますので、消去します。
そうしますと、

(受取手形)5,000 (売上)8,000
(現金)3,000  

となります。
正しい仕訳と一致することを確認して下さい。

第2法

この方法では、いったん売上を全て掛とみなします。
そのあとで振替を行います。

(売上伝票)
売掛金 8,000

(振替伝票)
受取手形5,000 売掛金5,000

(入金伝票)
売掛金3,000

<検算>
(売掛金)8,000 (売上)8,000
(受取手形)5,000 (売掛金)5,000
(現金)3,000  (売掛金)3,000

借方の売掛金8,000と貸方の売掛金5,000・3,000がかぶっていますので、消去します。
そうしますと、

(受取手形)5,000 (売上)8,000
(現金)3,000  

となります。
正しい仕訳と一致することを確認して下さい。

2.次の伝票から取引を推定しなさい

(出金伝票)
買掛金 9,000

(振替伝票)
仕入22,000   買掛金22,000
買掛金3,000  支払手形3,000
買掛金2,000  当座預金2,000

こういったケースの問題では、伝票を仕訳していき、
最後にかぶってる項目を相殺すればOKです。

(買掛金)9,000 (現金)9,000
(仕入)22,000  (買掛金)22,000
(買掛金)3,000 (支払手形)3,000
(買掛金)2,000  (当座預金)2,000

借方の買掛金9,000・3,000・2,000がかぶっていますので、それを相殺します。

(仕入)22,000  (現金)9,000
         (買掛金)8,000
        (支払手形)3,000
        (当座預金)2,000

貸借が一致しているかを必ず確認しましょう。
また、他にかぶっている項目がないかの確認もお忘れなく。

2013年08月22日(木)|仕訳問題

伝票の一部現金取引も仕訳で簡単にクリアできます

こんにちは、KENです。

今回は「伝票会計3」についてです。

1.一部現金取引の概要

一部現金取引とは、

「借方・貸方どちらか一方に現金と現金以外の科目が混在する仕訳」

のことをいいます。
この場合、今まで通りに伝票を起票することができません。

例)
A商店はB商店から商品30,000を仕入れ、代金はC商店から受取った手形
17,000を裏書譲渡し、残額は現金で支払った。(3伝票制)

この問題を仕訳にしますと次の通りです。

(仕入)30,000  (受取手形)17,000
              (現金)13,000

このケースでは、貸方に受取手形と現金が混在します。
そうしますと、今まで通りに伝票を起票することはできません。

こういったケースを「一部現金取引」といい、伝票の問題では最難関になります。
一部現金取引では2つの解法があります。
どちらを選択するかは、問題文の指示によります。

第1法:取引を分解する方法
第2法:いったん掛取引とみなす方法

この両方を、解説していきます。
一部現金取引は、苦手な方がとても多い項目です。
しかし、慣れてしまえば大したことはありませんから、ご安心下さい。

2.第1法

第1法は、取引を分解する方法です。
先ほどの例で確認しましょう。

例)
A商店はB商店から商品30,000を仕入れ、代金はC商店から受取った手形
17,000を裏書譲渡し、残額は現金で支払った。(3伝票制)

(仕入)30,000  (受取手形)17,000
            (現金)13,000

この取引を分解しますと、受取手形17,000と現金13,000の取引になります。
仕訳にしますと、

(仕入)17,000  (受取手形)17,000
(仕入)13,000   (現金)13,000

このようになります。
こうしますと、一部現金取引ではなくなりますね。

あとは、

(振替伝票)
仕入17,000 受取手形17,000

(出金伝票)
仕入13,000

とすればOKです。
一部現金取引ではなく、普通の取引に仕訳を変形させ、その仕訳から起票する方法です。

手順としては、

(1) 相手勘定の金額を現金の金額と同じにする。
(2) 合わせた分の金額を相手勘定の元々の金額から控除する
(3) 貸借の一致を確認する

こうなります。
イメージしやすい方法ですね。

3.第2法

第2法はいったん全て掛取引だったとみなす方法です。
こちらの方法は、ようは5伝票制と同じです。
仕入・売上があった場合には、全て掛取引だったものとし、その後に振替処理をします。

先ほどの例で確認しましょう。

例)
A商店はB商店から商品30,000を仕入れ、代金はC商店から受取った手形
17,000を裏書譲渡し、残額は現金で支払った。(3伝票制)

(仕入)30,000  (受取手形)17,000
            (現金)13,000

これを全て掛取引だったとみなすのですから、

(仕入)30,000  (買掛金)30,000
(買掛金)17,000  (受取手形)17,000
(買掛金)13,000  (現金)13,000

となります。
3伝票制ですので、

(振替伝票)
仕入 30,000  買掛金30,000
買掛金17,000  受取手形17,000

(出金伝票)
買掛金13,000

仮に5伝票制だった場合には、

(仕入伝票)
買掛金30,000

(振替伝票)
買掛金17,000  受取手形17,000

(出金伝票)
買掛金13,000

となります。

最後に、正しい仕訳と検算することを忘れないで下さい。

4.おわりに

今回は「伝票会計3」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
一部現金取引の問題は、一部現金取引でないようにする伝票を起票する問題です。

第1法と第2法、いずれも出題されますが、
どちらかと言いますと第2法の方が多い傾向にあります。
第2法の方が、論点が多いですからね。

一部現金取引は慣れるまで時間が掛かりますが、慣れてしまえば大したことはありません。
しっかりとおさらいしておいて下さい。

2013年08月18日(日)|日商3級の内容及び解説

5伝票制の仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

次の処理を5伝票制で起票しなさい。

1.商品3,000を掛売上

2.商品2,800を、800を手形、2,000を掛で仕入れ

次の伝票から取引を推定しなさい

1.
(仕入伝票)
買掛金 5,000

2.
(売上伝票)
売掛金8,000

(入金伝票)
売掛金3,000

(振替伝票)
受取手形 1,000  売掛金1,000

~解答~

次の処理を5伝票制で起票しなさい。

1.商品3,000を掛売上

(売上伝票)
売掛金 3,000

これはそのままですね。

2.商品2,800を、800を手形、2,000を掛で仕入れ

(仕入伝票)
買掛金 2,800

(振替伝票)
買掛金800 支払手形800

正しい仕訳と検算してみましょう。

(仕入)2,800  (支払手形)800
         (買掛金)2,000

・伝票
(仕入)2,800  (買掛金) 2,800
(買掛金)800  (支払手形)800

借方・貸方の買掛金800を相殺すると、正しい仕訳と一致します。
この検算までできてマルです。

次の伝票から取引を推定しなさい

1.
(仕入伝票)
買掛金 5,000

(仕入)5,000 (買掛金)5,000

これはそのままですね。

2.
(売上伝票)
売掛金8,000

(入金伝票)
売掛金3,000

(振替伝票)
受取手形 1,000  売掛金1,000

このような問題形式の場合には、とりあえず全部仕訳をしてしまいます。
そして、かぶっている項目を消せばOKです。

(売掛金)8,000 (売上)8,000
(現金)3,000  (売掛金)3,000
(受取手形)1,000 (売掛金)1,000

借方・貸方に売掛金が4,000ずつかぶっていますので、これを消します。
消去後の仕訳(正解仕訳)は下記になります。

(売掛金)4,000 (売上)8,000
(現金)3,000
(受取手形)1,000

2013年08月15日(木)|仕訳問題

5伝票制を簡単に極めましょう

こんにちは、KENです。

今回は「伝票会計2」についてです。

1.5伝票制

3伝票制では「入金伝票・出金伝票・振替伝票」を使用しました。
5伝票制では、これに加えて「売上伝票・仕入伝票」の2つを使用します。

売上伝票・仕入伝票の特徴は、

必ず掛取引で行う

ことにあります。
つまり、売上・仕入が発生した場合には、

売掛金×× 売上××
仕入×× 買掛金××

という仕訳が切られることになります。
売上も仕入も、ほとんどが掛取引で行われることから、掛取引にしています。

例1)
A商店はB商店に商品1,000を売上げ、代金は掛とした。

(売上伝票)
売掛金 1,000

掛取引でなかった場合にも、掛として仕訳をします。
その場合は、いったん売上・仕入伝票を起票して、振替を行うことになります。

例2)
A商店はC商店から商品1,600を仕入れ、代金は600を現金で支払い、残額はA商店振出の約束手形で支払った。

(仕入伝票)
買掛金 1,600

(出金伝票)
買掛金 600

(振替伝票)
買掛金1,000 支払手形1,000

順序としては、

(1)売上・仕入伝票
(2)入出金伝票
(3)振替伝票

となります。
この場合、仕入が行われていますので、まずは仕入伝票を起票します。

(仕入)1,600 (買掛金)1,600

次に、600を現金で支払っていますので、出金伝票を起票します。
その際の相手勘定は、仕入ではなく買掛金になります。

(買掛金)600 (現金)600

そして、最後に残りを振替伝票で起票します。

(買掛金)1,000 (支払手形)1,000

起票をしたら、正しい仕訳と検算します。

・正しい仕訳

(仕入)1,600  (現 金) 600
        (支払手形)1,000

・起票した仕訳

(仕入)1,600 (買掛金)1,600   
(買掛金)600 (現金)600     
(買掛金)1,000 (支払手形)1,000 

借方の買掛金600・1,000と、貸方の買掛金1,600を相殺すると、正しい仕訳と一致します。
これで検算終了となります。

伝票会計の場合、検算することを忘れないで下さい。
また、「伝票→仕訳」、「仕訳→伝票」のどちらでもできるようにしておきましょう。

2.おわりに

今回は「伝票会計2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
3伝票は得意だけど、5伝票は苦手という方がいます。
起票の順番さえ間違えなければ大した差はありませんので、しっかりと覚えましょう。

2013年08月11日(日)|日商3級の内容及び解説

3伝票制の仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

次の処理を起票しなさい。

1.売掛金1,000を現金受け取り

2.買掛金1,600を現金支払い

3.売掛金3,000を自己振出小切手で受け取り

~解答~

次の処理を起票しなさい。

1.売掛金1,000を現金受け取り

(入金伝票)
売掛金 1,000

2.買掛金1,600を現金支払い

(出金伝票)
買掛金 1,600

3.売掛金3,000を自己振出小切手で受け取り

(振替伝票)
(当座預金)3,000 (売掛金)3,000

自己振出小切手の受け取りは当座預金の増加になります。
当座預金の増加は入出金ではありませんので、振替伝票になります。

 

2013年08月08日(木)|仕訳問題

3伝票制が大得意になるコツを伝授します

今回は「伝票会計」についてです。

1.伝票会計の概要

通常の仕訳は、仕訳帳というものに書いていきます。
しかし、現金などは取引が多いため、いちいち仕訳するのが面倒になります。
取引が多くなればなるほど、ミスの可能性も高くなります。

そこで、多く登場する項目は仕訳しなくてもいいようにしよう、
ということで生まれたのが「伝票(でんぴょう)」です。

伝票は仕訳を簡略的に行うことができ、実務ではほとんどこの伝票で仕訳を行います。
なお、伝票を書くことを「伝票を切る」又は「起票(きひょう)」と言います。

日商3級で学習する伝票には、

「入金伝票、出金伝票、振替伝票、売上伝票、仕入伝票」

の5つがあります。
どれも期中によく発生する項目です。

この5つの伝票を使った制度を「5伝票制」といい、
「入金、出金、振替」の3つのみを使用する制度を「3伝票制」といいます。

今回は、3伝票制について確認していきます。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
・伝票制度

「入金伝票、出金伝票、振替伝票」→ 3伝票制
「入金伝票、出金伝票、振替伝票、売上伝票、仕入伝票」→ 5伝票制

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

2.入出金伝票

入出金伝票は読んで字の如く「お金が出入りした時」に伝票を切ります。
ここで注意して欲しいのは、「当座預金」ではなく「現金」の入出金になります。
間違える方が結構いらっしゃいますので、注意して下さい。

入出金伝票は次のように切ります。

例1)入金伝票の起票
売掛金1,000を現金で受け取った。

(入金伝票)
売掛金 1,000

例2)出金伝票の起票
買掛金800を現金で支払った。

(出金伝票)
買掛金 800

ポイントは、「相手勘定科目のみ記入」することです。
なぜならば、入金又は出金の時点で借方現金又は貸方現金が確定しています。
ですので、そこについては書く必要がないんですね。

また、伝票から取引を推測する問題もよく出題されます。
こちらもやっておきましょう。

例3)入金伝票→仕訳

(入金伝票)
受取利息 150

―仕訳―
(現金)150 (受取利息)150

例4)出金伝票→仕訳

(出金伝票)
保険料 300

―仕訳―
(支払保険料)300 (現金)300

仕訳→伝票、伝票→仕訳、どちらもできるようにしましょう。
ポイントは、「何の伝票を切ったのか?」です。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

入金伝票 → 借方現金
出金伝票 → 貸方現金

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

3.振替伝票

次に振替伝票を確認します。
振替伝票を一言で言いますと、「普通の仕訳」です。

3伝票制の場合、現金の入出金があれば入金伝票か出金伝票を切ります。
そして、現金以外の取引は全てこの振替伝票となります。

振替伝票は入出金伝票のように、借方又は貸方が確定しません。
したがって、借方も貸方も書かなければいけません。
ということは、

普通に仕訳すればOK

ということになります。
簡単でいいですね。

例1)振替伝票の起票
商品3,000を仕入れ、代金は掛とした。

(振替伝票)
(仕入)3,000 (買掛金)3,000

例2)振替伝票→仕訳

(振替伝票)
(受取手形)2,800 (売掛金)2,800

―仕訳―
(受取手形)2,800 (売掛金)2,800

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

振替伝票 → 普通の仕訳と同じ

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

4.おわりに

今回は「伝票会計」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
実務でも必ずと言っていいほど使う項目ですので、しっかり覚えましょう。

今回もお疲れ様でした^^

2013年08月04日(日)|日商3級の内容及び解説

修正仕訳の上級仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

1.A商店は備品10,000を購入し現金で支払ったが、
  その際、備品ではなく土地として処理してしまった。

2.A商店は商品3,000を仕入れ、代金は2,000を現金で受け取り残額は
  掛としたが、全て現金受け取りとして処理していた。

3.A商店はB商店から商品3,000を仕入れ、代金は1,000を他人振出小切手で支払い、
  残額をC商店振出A商店宛の為替手形で支払った。その際の仕訳は下記の通り。

(仕入)3,000 (当座預金)1,000
       (受取手形)2,000

~解答~

1.A商店は備品10,000を購入し現金で支払ったが、
その際、備品ではなく土地として処理してしまった。

誤) (土地)10,000 (現金)10,000
正) (備品)10,000 (現金)10,000
※かぶっている項目:現金→無視

(備品)10,000 (土地)10,000

2.A商店は商品3,000を仕入れ、代金は2,000を現金で受け取り残額は
  掛としたが、全て現金受け取りとして処理していた。

誤) (仕入)3,000 (現金)3,000
正) (仕入)3,000 (現金)2,000
          (売掛金)1,000
※かぶっている項目:仕入全額、現金2,000→無視

(現金)1,000 (売掛金)1,000

金額の一部がかぶっている場合、かぶっている金額は無視して、残りを仕訳します。
現金が、誤)が3,000で正)が2,000ですから、誤)が1,000余ります。
したがって、誤)1,000を消す逆仕訳を行いますので、借方が現金1,000となります。

3.A商店はB商店から商品3,000を仕入れ、代金は1,000を他人振出小切手で支払い、
  残額をC商店振出A商店宛の為替手形で支払った。その際の仕訳は下記の通り。

(仕入)3,000 (当座預金)1,000
         (受取手形)2,000

誤)(仕入)3,000 (当座預金)1,000
       (受取手形)2,000
正)(仕入)3,000 (現金)1,000
         (支払手形)2,000
※かぶっている項目:仕入全額→無視

(当座預金)1,000 (現 金)1,000
(受取手形)2,000 (支払手形)2,000

※1 「他人」振出小切手で支払い
当座預金ではなく現金の減少になります。
当座預金を減少するのは「自己」振出小切手のケースです。

※2 C商店振出A商店宛の為替手形
名宛人がA商店ですので、支払うのはA商店になります。
したがって、受取手形の減少ではなく、支払手形の増加となります。

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2013年08月01日(木)|仕訳問題

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