2013年11月の記事一覧

税理士試験財務諸表論の学習方法と学習時間など

税理士試験の財務諸表論は、計算半分理論半分となっています。
また、計算についてはBSやPL等の表示をメインとしており、簿記論
とは若干違った感じとなっています。

■計算の学習方法

計算については簿記論の知識があれば、あとは注記や表示
を学習するだけなので、かなり楽です。
よって、計算の学習方法は、

総合問題をひたすら解く

だけに注力しました。
個別問題は完全に無視です。

そうそう、実は私、財務諸表論は学校に行きませんでした。
模試だけ申し込んで、その問題を解くだけに注力しました。
理論の方は古いテキストを友人からもらってやってましたけどね。

なので、そもそも計算のテキストすら持っていませんでしたので、
個別問題を解く機会すらなかったのが現実です。
外販の問題集は簿記論同様に完全無視しました。

とりあえず、

・総合計算問題集 ⇒ 満点取れるまで
・実力判定模試 ⇒ 90%以上取れるまで
・直前模試 ⇒ 平均点+10点以上取れるまで

をただひたすら繰り返しました。
後半の方は、やることがなくなって、理論だけやっていましたね。
計算は、簿記論の知識があればこんなもので十分だと思います。

あと、私は仮計算表を作っていたので、実際に書くまでやらずに、
仮計算表までで採点していました。
そうすると、1題1時間もあれば終わるので効率が良かったと思います。

■理論の学習方法

理論は、大原の要点チェックノートという、左ページだけを収録した、
小さなテキストみたいなのがあったので、それを丸暗記しました。
特に、会計公準論や一般原則には注力しましたね。

あのあたりをやっておくと全体がわかるようになるので、おススメです。
正直、そこだけしっかりマスターしていれば、あとは何とかなるかなと。

最終的には、理論テキストの内容をほぼ全て暗記しました。
もちろん、税法のような暗記ではなく、内容が合っていればOK程度でしたが、
それでも、かなりの時間を要しました。

財務諸表論の理論をここまで覚えた人はいないんじゃないかな位まで
覚えたような気がしますね。

お陰で、税法の暗記もそこまで苦になりませんでした。
これは勝手な考えですが、財務諸表論の理論暗記をちゃんとやらずに
受かってしまった方は、税法で苦戦しているような気がします。

もちろん、全部覚えるだけではアウトプットができていませんので、
この時点ではまだ足りません。ある程度覚えたら、どんどんアウトプット
をする練習をした方がいいと思います。

ただし、私がやっていたアウトプットは、模試を解いただけです。
理論問題集的なものは開いたこともありません。
全体像が理解できていれば、そう苦労しないのかなと思います。

■財務諸表論の学習時間

・授業 ⇒ 0時間(笑)
・模試解き(計算) ⇒ 150時間程度
・理論暗記 ⇒ 500時間程度
・模試解き(理論) ⇒ 10時間程度

合計すると、660時間程度でしょうか。
理論暗記は細切れの時間をかなり使っていたので、正確にはわかりません。
ただ、500ページのテキストをほぼ丸暗記しましたので、この位はかかってい
ると思いますね。

よく、簿記論・財務諸表論はセットで1.5科目分と言われていますが、
それは計算だけの話であって、理論を含めたら普通に2科目分のボ
リュームがあると思います。

私は理論をやり過ぎた傾向にあるかも知れませんが、税法暗記の準備という
ことで、この位はやってもいいのではないでしょうか。

参考)
税理士試験財務諸表論の学習方法&必勝(!?)法
税法暗記の決定版!?官報に載る暗記術 税法暗記の決定版!?官報に載る暗記術
税理士官報合格者による税理士試験攻略法 税理士官報合格者による税理士試験攻略法
簿財に苦戦するようじゃ税法は無理!は本当か? 簿財に苦戦するようじゃ税法は無理!は本当か?
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2013年11月28日(木)|税理士試験

会計上の有価証券は4つの区分に分かれます

有価証券は、その保有目的によって次の4つに区分されます。

・売買目的有価証券
・満期保有目的債券
・子会社株式及び関連会社株式
・その他有価証券

簿記3級で学習するのは、売買目的有価証券だけですが、あと3種類あります。
ただし、基本的な考え方は「時価評価」に変わりありません。
時価のあるものは時価で評価しましょうというのが、現代会計の考え方です。

例外として、満期保有目的債券と子会社株式及び関連会社株式は時価評価をしません。
これは、これらの性格が「売ること」を目的にしていないからです。

満期保有目的であれば、満期まで持って利息を得ることが目的ですし、
子会社株式及び関連会社株式の場合には、その会社を「支配」すること等が目的になります。

時価で評価するということは、「売ったらいくら?」というのと同義になります。
売る予定がないものでしたら、売ったらいくらかを出す必要がありません。
そこで、これらの有価証券については時価ではなく簿価のままB/Sに計上されます。

これは「会計方針」というものに必ず記載されていますので、興味がある会社の
「有価証券報告書」などを見てみるのをおススメします。
知っていることが載っていると何か嬉しくなりますよ^^

 

2013年11月26日(火)|コラム

売買目的有価証券の決算整理仕訳問題

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

A社は次の社債を所有している。

額面100円当たり92円で300口購入(手数料400)

当該社債について決算整理を行いなさい。

・時価が100円当たり100円の場合

 

・時価が100円当たり85円の場合

 

 

~解答~

A社は次の社債を所有している。

額面100円当たり92円で300口購入(手数料400)

当該社債について決算整理を行いなさい。

このような問題では、まず簿価を計算しましょう。
1口当たり92円で300口購入していますので、簿価は次のようになります。

@92×300口+400=28,000

これを踏まえて、決算整理を行います。

・時価が100円当たり100円の場合

(売買目的有価証券)2,000  (有価証券評価益)2,000

@100×300口=30,000ですので、30,000-28,000=2,000が評価益となります。

・時価が100円当たり85円の場合

(有価証券評価損)2,500  (売買目的有価証券)2,500

@85×300口=25,500ですので、25,500-28,000=△2,500が評価損となります。

なお、T/Bの金額は次の通りです。

・前T/B

28,000

・後T/B

(評価益の場合)

売買目的有価証券 30,000
有価証券評価益 2,000

(評価損の場合)

売買目的有価証券 25,500
有価証券評価損 2,500

2013年11月24日(日)|仕訳問題

売買目的有価証券の決算整理テクニック

今回は「有価証券の決算整理」についてです。

1.売買目的有価証券の決算整理の概要

売買目的有価証券は購入時に「購入代価+付随費用」を計上します。
そして、期中の計上金額はずっとこのままになります。
しかし、有価証券には時価があります。

簿価=時価とはなりませんので、簿価のままですとB/S価額が
時価とかけ離れたものとなってしまう可能性があります。

そこで、期末に売買目的有価証券の価格を見直します。
簿価ではなく、時価でB/Sに計上しましょうとなるんですね。

これを「有価証券の時価評価」と言います。
時価評価の概念は、近年、かなり積極的に行われています。

簿価ではなく時価で貸借対照表に計上することで、
よりリアルなB/Sを作成することができるようになります。

また、簿価と時価との差額は次のように処理します。

・簿価>時価の場合

プラス分を「有価証券評価益」勘定

・簿価<時価の場合

マイナス分を「有価証券評価損」勘定

売買目的有価証券の決算整理は完全な点取り問題ですので、
ここでしっかりと押さえておいて下さい。

なお、T/B上では売買目的有価証券は次のようになります。

・前T/B

簿価

・後T/B

時価

2.売買目的有価証券の決算整理

例)
A社の株式300株を@200で購入し、手数料1,000と共に現金で支払った。

(売買目的有価証券)61,000  (現金)61,000

付随費用は簿価にプラスします。
300×200+1,000=61,000となります。

例2)
上記株式の決算整理を行う。
なお、期末の時価は180である。

(有価証券評価損)7,000  (売買目的有価証券)7,000

時価180ですので、300株×@180=54,000がB/S価額になります。
簿価は61,000ですので、61,000-54,000=7,000のマイナスになります。
マイナスの場合は「有価証券評価損」勘定を使用します。

3.おわりに

今回は「有価証券の決算整理」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここで時価評価というものを覚えておいて下さい。
時価評価は現代会計のテーマですから。

2013年11月21日(木)|日商3級の内容及び解説

公認会計士と税理士どちらが上か3

2回に渡って、公認会計士と税理士どちらが上かという論点について
お話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

私は、公認会計士はいっぺんに7科目(当時)受けなくてはいけませんでしたので、
そんなにやれないよ~ということで税理士試験を選びました。
別の友人は、一回で終わらせたいということで、公認会計士試験を選びました。
(見事合格して、現在公認会計士として活躍中です)

ちなみに、今、私に公認会計士資格をプレゼントするよと言われましたら、
当然喜んでもらいますが、ちょっと簡単な試験に受かればあげるよと言われたら、
それは面倒だからいらないですと答えると思います。

税理士資格があれば、別に公認会計士でなくても全く業務に影響ありませんからね。
あと、仮に公認会計士になっても登録料がもったいないので登録しないと思います。
私の中では、「公認会計士=税理士」です。

ということで、公認会計士か税理士かは正に好みだと思います。
そもそも違う資格を比較することに意味もないかなと。

ただ、どちらの試験も合格するには恐ろしい時間がかかります。
最低でも3,000時間はかかるでしょう。
そして、その中から一部の人しか合格できない試験です。

どちらの試験も半端じゃ絶対に受かりません。
どちらが良いかではなく、どちらが自分のスタイルに向いているかを判断して、
公認会計士か税理士を選べばいいと思いますよ。

公認会計士と税理士どちらが上か1
公認会計士と税理士どちらが上か2

 

2013年11月19日(火)|コラム

公認会計士と税理士どちらが上か2

さて、前回の続きです。

税理士と公認会計士どちらが良いかというお話です。
前回の記事では、試験制度の違いと試験のレベルについてのお話でした。
今回は、税理士登録についてのお話です。

■公認会計士は税理士資格が貰える

公認会計士は、税理士登録をすることができます。
簡単に言いますと、公認会計士ですと税理士試験を
受けなくても税理士資格が貰えます。

例えは悪いですが、普通自動車免許を持っている人が、
自動的に原付免許をもらえるのと同じですね。

逆に、税理士資格を持っていると公認会計士資格がもらえるのかという話ですが、
これは制度的に存在しません。(以前は特別試験と言うものがありました)

税理士が公認会計士試験を受験する際に、短答式の財務会計論と、
論文式の租税法が免除される程度しか恩恵はないんですね。

その論点から見ますと、公認会計士>税理士となります。

ただし、公認会計士が税理士資格を貰えるというのは税理士法に定められており、
この法律が改正された場合は公認会計士が税理士資格を貰えない可能性があります。
数年前より税理士会ではこの改正をしようとしており、いずれはできなくなるでしょう。

そうなった場合、この論点から、公認会計士>税理士ということはできません。

■社会的信用

公認会計士の方が知名度が高いことから社会的信用も上だと思われます。
医師・弁護士・会計士が三大国家資格などと呼ばれていた時代もありますので、
この考えは根強く残っていると思います。

また、税理士は税務署職員の天下りのような考えの方も多いみたいですね。

■資格取得の多様性

公認会計士は原則として公認会計士試験に合格しないとなれませんが、
税理士の場合は、一定期間勤続した税務署職員には税理士資格が付与されます。
また、一定の大学院を修了した場合、税理士試験の一部科目が免除されます。

試験合格以外の道があることから、公認会計士より税理士の方がなり易いと言えますね。

■受験者層

公認会計士試験は、現役の大学生が多く受験する試験です。
また、一流大学の学生が多く受ける試験であることから、
受験者のレベルが非常に高いです。

逆に税理士試験は働きながら受ける人が多く、学歴は非公開ですが、
公認会計士試験よりは低いのではないかと思われます。

そう考えますと、公認会計士試験の方がレベルが高そうですが、前回の記事で
書きましたように、難易度にはそこまでの差はないと思われます。
これは科目合格制である税理士試験の特徴であり、1科目に集中して学習する方
が多いことから、1科目ごとのレベルは高くなっているんでしょうね。

■合格までの平均年数

公認会計士試験は3年程度、税理士試験は7年程度かかると言われています。
公認会計士試験は一括合格制度ですので、あまりダラダラやらずにダメなら諦める
方が多いことから平均年数は短くなっていると思います。

逆に税理士試験は科目合格制度がありますので、何科目か合格してしまうと、
やめるにやめられない状況になりますので、平均年数が長くなると思います。

よって、合格までの平均年数は合格し易さには何の影響も与えないと思います。
強いて言えば、早くサクッと受かりたいのであれば公認会計士ということですかね。

■就職

公認会計士は監査法人、税理士は税理士事務所で働くのが一般的です。
監査法人は大企業のイメージで、税理士事務所は中小企業のイメージです。
したがって、監査法人は給料が高くて税理士事務所は給料が安いのが一般的です。

ただし、将来独立するのであれば、税理士事務所で働いていた方が有利です。
公認会計士であっても、独立したら税理士業務を行うのが一般的ですから。
この時に、監査法人の経験しかない公認会計士であれば、業務をこなすのは大変でしょう。
結局、どこかに修行へ行くことになると思います。

よって、生涯で考えますと、どっちもどっちなのかなと思います。

なお、一般企業の経理部などへの就職でしたら税理士の方が有利だと思います。
税理士は会計も税務も詳しいですからね。

逆に会計士は会計しかわからないというイメージが強いことから、そこまで
需要はないと思います。(実際は税務もわかっているんですけどね)

■結局どっち?

働いているか働いていないかも重要です。

働いていないのであれば、比較的早く合格できる公認会計士
働いているのであれば、科目合格制の税理士

が良いと思います。

ほかにも、会計士は6科目やらないとだから辛い・・・という方は税理士でしょうし、
税理士は科目合格制だから苦手科目が作れないので辛い・・・という方は会計士でしょう。
この辺は個人の好みでしょうね。

どちらか一方を選択しろと言われましたら、公認会計士の方が良いと思います。
なぜなら、公認会計士であれば税理士資格ももらえるからです。

ただ、税理士法の改正がされて公認会計士の税理士登録ができなくなるのであれば、
それは好みの問題ではないかなと思います。

2~3年無職で勉強する環境があるのであれば、公認会計士試験に挑んでも良いのではないでしょうか。
そうでないのであれば、コツコツ科目合格を目指すのが無難だと思います。

公認会計士と税理士どちらが上か1
公認会計士と税理士どちらが上か3

2013年11月17日(日)|コラム

公認会計士と税理士どちらが上か1

よくある論争なのですが、公認会計士と税理士どちらが良いか。
今回はそのテーマについてお話していきます。

そもそもこれらの試験は、仕組みが違います。

■公認会計士試験の仕組み

短答式、論文式に合格して3年間の実務経験後、
終了考査に合格することで公認会計士となります。

試験科目は、

・必修
財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法

・選択(いずれか1つ)
経済学・経営学・民法・統計学

となっており、選択科目は論文式試験のみとなっています。
論文式試験は科目合格もありますが、基本は一括合格です。
上位○%に入れば、合格というのがセオリーですね。

一括で合格しなければならないため、全てを網羅的に学習する
必要があります。
そうしますと、働きながらの合格はほとんど見込めません。

■税理士試験の仕組み

必修2科目、選択必修1科目、その他2科目の計5科目に合格し、
2年間の実務経験を積むことで税理士となります。
なお、実務経験は合格前後を問いません。
合格前に2年以上の経験があれば、合格後即税理士となることができます。

税理士試験の詳しい内容は、以下の記事に譲ります。

税理士試験の概要と合格し易い科目選びの秘訣

税理士試験は科目合格制を採用しており、また合格済科目は
永久に有効であることから、1科目ずつコツコツ集めていくことができます。
ここが公認会計士試験との大きな差ですね。

働きながら受験されている方が圧倒的に多い試験となっています。

■難易度

公認会計士試験と税理士試験では仕組みが違いますので、
難易度を直接比較することができません。

しかし、税理士試験の簿記論と財務諸表論は公認会計士試験とかぶり、
かつ、簿記論と財務諸表論に合格すると公認会計士試験の短答式のうち、
財務会計論を免除されることから公認会計士受験生が多く受験しています。

この合格率がわかれば、ある程度、難易度の比較ができると思います。
簿記論・財務諸表論に合格して、公認会計士試験に不合格、
または、公認会計士試験に合格して簿記論・財務諸表論に不合格。
この比率を出すことができれば良いのですが、実際には把握できません。

ただ、何人かの公認会計士に聞いてみたところ、簿記論・財務諸表論を
受験した人のうち両方合格したという人は1人しかいませんでした。
あとの方は、いずれか一方合格又は両方不合格でした。

もちろん、公認会計士の試験後に税理士試験が行われますので、
その時点でモチベーションはかなり下がっていたと思います。
また、出題の傾向も異なりますので、対策無では厳しいでしょう。

そういった点を踏まえますと、公認会計士試験の財務会計論と
税理士試験の簿記論・財務諸表論は同じ位のレベルなのでは?と思います。

なお、どちらの試験も相対評価ですので、問題の難易度自体は関係がありません。
どちらが合格し易いかという観点で見て、同じ位のレベルなのかなと考えられます。

しかし、税理士試験組は基本的には1科目か2科目しか受験しません。
それに対して公認会計士試験組は6科目も勉強している訳ですので、
6科目勉強しながら1科目か2科目しか勉強していない方と同じようなレベル
になるというのは、すごい話だとは思いますね。

そういった意味では、公認会計士試験組の方が凄いのかなと思います。
(もちろん、合格者限定です)

ちょっと長くなりましたので、続きます。

公認会計士と税理士どちらが上か2
公認会計士と税理士どちらが上か3

2013年11月14日(木)|コラム

商品の決算整理のまとめと決算整理前後試算表との関係

今回は「商品の決算整理4」についてです。

1.商品の決算整理まとめ

今回は商品の決算整理について、まとめをしていきます。
商品売買は簿記をやっていく上で避けては通れない道ですので、
ここでしっかりと基礎をマスターして下さい。

商品売買をつきつめますと、次のようになります。

商品売買でいくら儲かったか?

商品販売によって、どの位の利益が出たかが知りたい訳ですね。
利益の計算式は「収益-費用」ですので、収益と費用がわかれば利益がわかります。
そうしますと、

収益=売上
費用=売上原価(売った商品の買った値段)

を出せばいいことになります。

売上の方は、P/Lの売上とイコールですので調整はいりません。
調整が必要なのは、売上原価の方になります。
売上原価の算定式は次の通りです。

売上原価=当期商品仕入高+期首商品棚卸高-期末商品棚卸高

通常はこの売上原価を「仕入」勘定を使用して算定します。
決算整理前は、仕入勘定には当期商品仕入高しかありませんので、
期首商品棚卸高を足して期末商品棚卸高を控除する仕訳を知れます。

その仕訳が、

(仕入)××(繰越商品)××
(繰越商品)××(仕入)××

という仕訳で、「し・くり・くり・し」という仕訳です。
「し・くり・くり・し」は、仕入勘定で売上原価を表示する仕訳になります。

なお、売上原価勘定を使用する場合は、

(売上原価)××(繰越商品)××
(繰越商品)××(売上原価)××
(売上原価)××(仕入)××

という仕訳になり、「うり・くり・くり・うり」に「うり・し」の仕訳が付きます。
こちらは苦手な方がいらっしゃいますが、売上原価を算定するためにはどんな
仕訳をすればいいかを考えれば間違えにくくなりますので、しっかりと押さえましょう。

2.試算表の読み方

試算表は、決算整理前と整理後で内容が異なります。

・決算整理前

仕入:当期商品仕入高
繰越商品:期首商品

・決算整理後

仕入:売上原価
繰越商品:期末商品

理由は、上記1でお話ししたとおりですね。
これはとても大事なことですので、理解しておいて下さい。

例)
商品について決算整理仕訳を行う。

期首商品棚卸高:10,300
期末商品棚卸高:8,300
当期商品仕入高:41,500

・決算整理前

仕入:41,500
繰越商品:10,300

・決算整理後

仕入:43,500
繰越商品:8,300

仕訳をして、整理前の金額+仕訳=整理後とならなければ何か間違っています。
問題をパッと見た瞬間に、整理後の金額は把握しておくようにしましょう。
そうすることで、正確な検算を行うことができますよ。

4.おわりに

今回は「商品の決算整理4」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
商品の決算整理でごちゃごちゃになっていたところがクリアにりましたでしょうか。
商品売買は大事な大事な項目です。
何度も何度も読み返して理解するよう努めて下さいね。

2013年11月10日(日)|日商3級の内容及び解説

商品の決算整理仕訳問題(売上原価編)

簿記の上達方法はなんといっても「問題を解くこと」です。
問題を解いた分だけ理解度も上がりますので、ぜひ解いて下さいね。
ただし、闇雲に解くのではなく、

内容を理解してから解く

ことを忘れないで下さい。
ですので、内容を理解していない場合には、前回の記事を確認してから解いて下さいね。

~問題~

商品について決算整理仕訳を行う。
なお、決算整理は「売上原価勘定」を使用すること。

期首商品棚卸高:10,300
期末商品棚卸高:8,300
当期商品仕入高:41,500

~解答~

商品について決算整理仕訳を行う。
なお、決算整理は「売上原価勘定」を使用すること。

期首商品棚卸高:10,300
期末商品棚卸高:8,300
当期商品仕入高:41,500

(売上原価)10,300 (繰越商品)10,300
(繰越商品)8,300 (売上原価)8,300
(売上原価)41,500 (仕入)41,500

売上原価勘定を使用する場合は、「うり・くり・くり・うり」になります。
また、「うり・し」を最後に入れるのをお忘れなく。

なお、決算整理前・後の試算表は次のようになります。
確認してみて下さいね。

・決算整理前

繰越商品:10,300
仕入:41,500

・決算整理後

繰越商品:8,300
売上原価:43,500
仕入:0

2013年11月07日(木)|仕訳問題

税理士試験簿記論の学習方法と学習時間など

久々に税理士試験の方も更新していきますね。
テーマは、勉強方法と勉強時間でいきましょう。
まずは簿記論からです。

税理士試験の簿記論は異様なまでの範囲の広さと、
あり得ないほどの難易度が特徴ですが、合格点は
50点程度となっていることから合格し易い科目ではあります。

そう思った私は、50点を取るにはどうしたらいいかを考えました。
答えは、

苦手も得意も作らない

という戦略です。
どうせ難し過ぎて解けないんですから、得意は必要なし。
ただ、全く解けないのもなんですから苦手も作らない。

こんな戦略を立ててみました。

この戦略に沿った学習方法としては、

■個別問題は数題解くだけ
■あとはひたすら総合問題

がいいのかなと思います。
個別問題は、チェック問題を数台解くだけで終了。
ただし、内容自体はしっかりと理解しておきます。

個別問題は次のような感じで解きました。

・テキストの例題 ⇒ 完璧に解けるまで
・チェック(ワーク) ⇒ 最低1周、簡単過ぎるのは飛ばす
・個別計算問題集(外販) ⇒ 無視

そして、それができるようになったらすぐに総合問題です。
例えば特殊商品販売であれば、特殊商品販売に関する個別問題を数題解き、
あとは特殊商品販売が収録されている総合問題を解くだけですね。

そして、総合問題は問題集から第1問・第2問・第3問をピックアップし、
2時間問題を作って解いていました。
基本的には満点を取るまで解き続ける感じです。

私が解いた総合問題集は、

・基礎編×3周 ⇒ 全部満点取れるまで
・応用編×2周 ⇒ 全部満点は取れませんでしたが8割程度はOK
・上級編×1周 ⇒ へばりました

上級編は難し過ぎて意味がないような気もしたんですが、
50点取る練習としては優れていると思いましたので、1回転だけしました。
合格点を取る力を付けるためには、応用編までやれば問題ないでしょう。

あとは、上級編や模試を繰り返し解いて、50点を取る練習をするイメージです。
ちなみに模試については、

・定例試験 ⇒ 解いたり解かなかったり(ほぼ満点取れました)
・実力判定模試 ⇒ 満点取れるまで
・上級模試 ⇒ 上位10%の点数が取れるまで繰り返し
・直前模試 ⇒ 上位5%の点数が取れるまで繰り返し

こんな感じで解きました。

こちらについても、実力判定模試までは満点取れるまでやって、
その後の模試については50点を取る練習といった位置付けですね。
実力判定模試で満点取れるレベルであれば十分合格できる力があると思います。

あと、直前対策の問題ですが、これは仕組みを理解して例題を1つ解く程度でした。
例題が全然ないので、多分、試験で出ても解けないんですよね。
でも、気を落ち着かせるために解いていた感じでした。

直前項目については、試験の2週間前位から毎日10分くらいやればいいと思います。
そう、どうせ出ても解けないですから(笑)

最後に、私が税理士試験の簿記論にかけた時間数は概ね次の時間です。

・授業 ⇒ 100時間程度
・授業の復習、例題解き ⇒ 50時間程度
・個別計算問題解き ⇒ 50時間程度
・総合問題 ⇒ 300時間程度
・模試 ⇒ 120時間程度
・直前 ⇒ 2時間くらい(笑)

授業は結構サボっていたので、あまり受けませんでした。
個人的には、わからないところだけ講師に聞いて、あとは自分でやるべきだと思います。
練習問題を解いていたら大体できますからね。

ということで、合計時間は622時間。
もう少しやったとしても700時間程度というところでしょうか。

専門学校では500時間程度とありますが、500時間ですと結構大変かも知れません。
ただ、合格レベルになるという点だけで見れば、500時間あればいけそうですね。

あと、1回目の受験でダメだったとしても合格レベルに達していたとすれば、
4月くらいから模試だけ解いておけばレベルを保てる試験です。
暗記がないのが大きいですね。

 参考)
税理士試験簿記論の学習方法&必勝(!?)法
税法暗記の決定版!?官報に載る暗記術 税法暗記の決定版!?官報に載る暗記術
税理士官報合格者による税理士試験攻略法 税理士官報合格者による税理士試験攻略法
簿財に苦戦するようじゃ税法は無理!は本当か? 簿財に苦戦するようじゃ税法は無理!は本当か?
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2013年11月03日(日)|税理士試験

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