今回は「前受金・前払金」についてです。
1.前受金・前払金の概要

問題文で「○○商店から商品を仕入れた」とあった場合、
どんな状態であるかわかりますでしょうか。
商品を仕入れた場合、

商品の引渡しを受けた

状態を表します。
つまり、もう商品が手元にある状態です。
まとめますと次の通りです。

仕入:商品が手元に移った状態
売上:商品が相手の手に渡った状態

※商品が移ってない時点では、仕入・売上を計上することはできません。

これを踏まえたうえで、代金の支払いについて確認しましょう。
通常、商品の引渡しを受けてから代金を支払います。
引渡しを受けた瞬間にお金を払った場合は、

(仕入)××(現預金)××

となります。

引渡しを受けた時点でお金を払わず、一定期間経過してから払った場合は、

(買掛金)×× (現預金)××

となります。

では、ここで問題です。
引渡しを受ける「前に」支払いをした場合はどうしましょうか。

(仕入)××(現預金)×× 

この仕訳は×です。
商品の引渡しを受けるまでは仕入にすることができません。

取引としては、

「まだ商品はないけど、とりあえずお金を先に払っておくね」

という状況です。
このような状況を簿記では「前払(まえばらい)」といいます。
そして、この時に使う科目は「前払金勘定(資産)」です。

商品の引渡し前にお金を払った場合

(前払金)××(現預金)××

なお、商品を売る側は

「まだ商品は渡してないけど、とりあえず先に代金をもらった」

という状況です。
このような状況を簿記では「前受(まえうけ)」といいます。
そして、この時に使う科目は「前受金勘定(負債)」です。

商品の引渡し前にお金をもらった場合

(現預金)×× (前受金)××

なお、カンの良い方はお気づきかもしれませんが、
この「前受・前払」の状態は、前回学習した「商品券・他店商品券」と同じです。
ただ、商品券の場合には前受・前払の際に商品券という券を発行する違いがあるだけです。

前受金・前払金と商品券・他店商品券はセットで覚えると覚え易いですよ。

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・ポイント

商品引渡し前にお金を払う:前払金(他店商品券と同じ性格)
商品引渡し前にお金をもらう:前受金(商品券と同じ性格)

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2.前受金・前払金の極意

前受金・前払金の問題は、「商品の引渡しがあるか否か」に注目して下さい。
商品の引渡し前にお金を払ったりもらったりした場合には、
前受金・前払金を使用すればOKです。

例1)
A商店はB商店に商品1,000を販売することとし、代金の一部300を現金で受け取った。
なお、商品の受け渡しはまだ行っていない。

・A商店

(現金)300 (前受金)300

・B商店

(前払金)300 (現金)300

商品の引渡しを行う前にお金のやり取りがありましたので、前受金・前払金を使用します。

例2)決済
B商店はA商店から例1の商品の引渡しを受けた。
代金は、200を現金で支払い、残額は掛けとした。

・A商店

(前受金)300  (売上)1,000
(現金)200
(売掛金)500

・B商店

(仕入)1,000 (前払金)300
       (現金)200
       (買掛金)500

前受金・前払金は商品の引渡しを行うまでしか使用しません。
従って、商品の引渡しがあった場合には、前受金・前払金を直ちに逆仕訳します。
あとは、いつも通り仕訳して貸借が一致していることを確認すればOKです。

 

3.おわりに

今回は「前受金・前払金」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
商品の引渡しをしないと仕入・売上を計上しないという点が簿記特有のものです。

一般の商取引では、契約をした時点で売上!みたいなところがありますが、
簿記上はあくまで商品を引き渡したときです
この点はしっかりと覚えておきましょう。