今回は「商品有高帳2」についてです。
はりきっていきましょう!

1.先入先出法のデメリット

先入先出法は、モノの流れと帳簿の流れが一致するというメリットがあります。
基本的に、先に買ったものを先に使いますよね。
これは正に、先入先出法なのです。

ですが、先入先出法にはデメリットもあります。
それは、

物価上昇時に商品の払出単価が時価とかけ離れる恐れがある

ということです。
簡単な例とともに確認しましょう。

例)
1/1:商品Aを@1,000で15個仕入れ
1/10:商品Aを@4,000で15個販売
1/31(期末):商品Aを@3,000で10個仕入れ

この場合、期末の在庫は、@3,000×10個で30,000になります。
また、払出した商品の単価は@1,000×15個で15,000になります。

期末時点の時価は@3,000ですので、15個販売したとしたら払出価格は45,000です。
しかし、計算上は単価の安い@1,000×15個で15,000が払出価格になっています。

このように、物価が上昇した場合には、期末の時価と払出価格がかなりズレます。
期末の在庫価格については問題ありませんが、期中の払出価格に問題が生じます。

このデメリットを回避するために、移動平均法があります。

2.移動平均法

移動平均法は、同じ商品で単価の異なるものを仕入れる都度、単価を計算し直します。
これにより、物価に変動があったとしても、その変動を取り入れることができます。

例)
4/1 商品Aを@1,000で3個仕入れ
4/10 商品Aを@900で7個仕入れ
4/15 商品Aを@1,300で2個販売
4/18 商品Aを@1,400で5個販売

4/1 @1,000 数量3 仕入価格3,000

ここまでは先入先出法と同じです。

4/10 @900 数量7 仕入価格6,300

問題はここです。
前回の仕入れでは、単価が1,000でしたが、今回は900です。
先入先出法では、バラバラに認識していましたが、移動平均法は単価を計算し直します

具体的には、

仕入価格・数量をそれぞれ合算して、仕入価格÷数量で単価を計算

今回のケースでは、次のようになります。

仕入価格:3,000+6,300=9,300
数量:3+7=10
単価:9,300÷10=930

よって、4/10は、「@930 数量10 仕入価格9,300」となります。

4/15 商品Aを1,300で2個販売

この日の払出しは2個です。
先入先出法と違って単価は1つしかありませんので、その単価を使います。

@930 数量2 仕入価格1,860

この金額が販売した商品の仕入価格になります。

なお、販売価格は1,300×2=2,600となります。
1,860の商品を2,600で販売したので、740の利益が出た計算になります。

4/18 商品Aを1,400で5個販売

この日の払出しは5個です。
これも4/15と同じです。

単価930 数量5 仕入価格4,650

この金額が販売した商品の仕入価格になります。

なお、販売価格は1,400×5=7,000となります。
4,650の商品を7,000で販売したので、2,350の利益が出た計算になります。

この流れを商品有高帳で示しますと次のようになります。

   摘要      受入      払出      残高
4/1 仕入   3×1,000=3,000            3×1,000=3,000
4/10仕入   7×900=6,300              10×930=9,300
4/15売上             2×930=1,860    8×930=7,440
4/18売上             5×930=4,650    3×930=2,790

商品有高帳では、摘要欄に「仕入or売上」を書き、仕入の場合には受入欄に、売上の場合には払出欄に「仕入単価」を書きます。
払出欄に「売上単価」を書いてしまう人がいますので、注意して下さい

そして、残高欄で単価が異なるものを仕入れた場合には合算をしてしまいます。
数量と仕入価格を合算して、単価は後で計算することになります。

払出があった場合には、直前の残高で使用している単価を使えばOKです。
単価をいちいち計算するのは面倒ですが、計算してしまえば払出は簡単ですね。

なお、先入先出法で書きますと次のようになります。

   摘要      受入      払出      残高
4/1 仕入   3×1,000=3,000            3×1,000=3,000
4/10仕入   7×900=6,300              3×1,000=3,000
                               7×900=6,300
4/15売上             2×1,000=2,000  1×1,000=1,000
                                7×900=6,300
4/18売上             1×1,000=1,000   
                   4×900=3,600    3×900=2,700

移動平均法と先入先出法では単価計算の仕方が異なります。
したがって、期末の商品価格と期中の払出価格が異なることになります。

・期末の商品価格
移動平均法:3×930=2,790
先入先出法:3×900=2,700

・期中の払出価格
移動平均法:1,860+4,650=6,510
先入先出法:2,000+1,000+3,600=6,600

また、販売価格は2,600+7,000=9,600となります。
これはどちらの方法であっても変わりません。

しかし、利益は変わることになります。

・商品販売益
移動平均法:9,600-6,510=3,090
先入先出法:9,600-6,600=3,000

となり、移動平均法の方が、90利益が多くなっています。
しかし、先入先出法の期末商品価格(=将来の払出価格)は移動平均法より90少ないです。
したがって、将来、その商品を販売したら先入先出法の方が、90利益が多くなります。

今回は90少なくて、次回は90多い・・・つまりゼロですね。
買ってきた商品を全て売り切れば、利益は全く同じになります。
ただ、売れ残りがあった場合は、利益に差が出ることがありますよというお話でした。

ちょっと難しい話ですが、「儲けが違っちゃうと問題があるのでは?」という質問を結構受けましたので、ここで回答しておきます。

なお、今年は移動平均法を採用して、来年は先入先出法・・・といったように、方法を有利不利で変えたりすることは禁止されています。
一度決めた方法は、基本的に使い続けて下さいというルールがあるんですね。
このルールを「継続性の原則」といい、色々なことで当てはまるルールになります。

簿記3級では不要な知識ですが、実務では知っておかなければならないことです。
頭の片隅にでも入れておいて下さい^^

3.おわりに

今回は「商品有高帳2」について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
移動平均法は計算は面倒ですが、物価変動時に払出単価を変動させることができます。
時価に近い価格を払出単価にすることができる優れた方法です。

前回の先入先出法と合わせて、しっかりと覚えておきましょう!

それでは、今回もお疲れ様でした^^